
[NHK]コソボ紛争25年:憎しみの通りを越えて~コソボ紛争で人生を大きく変えられた人々を長期継続取材~
NHKは、1990年代後半に旧ユーゴスラビアのコソボ自治州で発生したコソボ紛争をテーマとしたドキュメンタリー「隣人たちの戦 ~コソボ “憎しみの通り”の25年~」を、8月30日(土)午前1時36分から放送する。本番組は、コソボ紛争で人生を大きく変えられた人々を25年という長期にわたり継続的に取材した映像記録だ。
紛争時、独立を求めるアルバニア系住民をセルビア人政府が武力で弾圧し、激しい民族紛争が起きて多数の犠牲者が出た。番組の舞台となるのはコソボにある長さわずか150メートルたらずの「ハイダルドゥシィ通り」。かつて半世紀以上にわたりアルバニア系住民とセルビア系住民が隣人として日常生活を送っていた場所。紛争は互いの民族への憎しみを生み、通りの人々の人生を一変させた。
カメラは紛争から逃れた人々が暮らす難民キャンプで「人の役に立ちたい」と懸命に働いていたアルバニア人の青年のその後を追う。彼は従兄弟たちをセルビア兵に虐殺され、コソボ解放軍の兵士として紛争に参戦した経験を持つ。戦場で負った傷が原因で腎臓に感染症が広がり、満足に働くことができなくなり、高齢の父親が腎臓を提供して移植手術を受けた。手術費用を捻出するため家族は家を売り懸命に働いたが、再び移植しないと命を失う状況にあるという。
一方、この通りで生まれ育ったセルビア人の男性も取り上げる。彼は13歳で父を殺され、コソボを追われた。父を殺したアルバニア人を憎み、一時愛国主義に染まったが、暴力事件を起こして入った刑務所でアルバニア人と寝食を共にする中で、その憎しみは薄れていった。今回、25年ぶりにコソボを訪れることを決意した彼が、生まれ育った通りや父の墓参りで何を経験し、何を語ったのかを記録する。
番組は、戦争に翻弄された人々の人生を25年の映像記録とともに描き、現代も世界で続く戦争と人間の姿を浮き彫りにする。25年間取材を続けてきた右田千代ディレクターは「作らずにはいられなかった番組」と語る。世界で戦争と分断が続く今こそ、コソボの人たちのことを伝えなければならないと感じたという。再び訪ねると、一人ひとりが想像を超えた人生を歩んでいた。「人間の弱さと素晴らしさ、人間そのものについて深く考えさせられる、忘れがたい取材となった」と述べている。
■番組概要
「隣人たちの戦争~コソボ“憎しみの通り”の25年~」
放送:2025年8月30日(土)午前1時36分~3時46分
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当