
奥能登に笑顔と希望を 移動映画館「シネマバード」開催 斎藤工「約束守れた」 珠洲市民約500名を無料招待
俳優で映画監督の斎藤工が発案した移動映画館プロジェクト「cinéma bird(シネマバード)」が10月4日、石川県珠洲市の多目的ホール「ラポルトすず」で開催された。
「cinéma bird」は、斎藤の発案のもと、劇場体験の少ない子どもたちや劇場のない地域の人々に「同じ空間で感動を共有する」劇場体験を届けることを目的に2014年に始動したプロジェクト。同年、宮城県石巻市での初開催を皮切りに、福島や熊本、北海道などの被災地を中心に、寺や体育館など、様々な場所を1日だけ映画館にし、体験型のエンターテインメントを届けてきた。
15回目の舞台となった珠洲市は、2024年1月1日に起きた大地震により、道路等のライフラインが寸断され、多くの地域が孤立集落になり、甚大な被害を受けた。現在も多くの市民が避難生活を余儀なくされている。そんな厳しい状況の中、本イベントは市民に夢や希望を届け、石川県の自然や伝統文化を生かした復興の一助となることを願って実現され、約500名の地元住民が無料招待された。
斎藤は昨年3月に志賀町で開催した際、「未来で待ち合わせしましょう」と約束しており、今回、奥能登で実現できたことが「本当に嬉しいです」と開催への想いを語った。また、実際に歩いて回ると復興への励まし合う姿が印象的だったとし、「その優しさの奥にもし、SOSがあるなら見逃さずに寄り添いたいです」と述べた。
アカデミー賞ノミネート作品を上映
今回上映されたのは、2024年に日本で公開され、第96回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされた『ロボット・ドリームズ』と、斎藤が企画・脚本・声優を務めた短編クレイアニメーション『映画の妖精 フィルとムー』の2本。『ロボット・ドリームズ』は、セリフが一切なく、音楽と絵の美しさで感情を揺さぶる作品として人気が高い映画だ。
ドラマ「誘拐の日」で共演 子役・永尾柚乃が登場
ステージには、スペシャルゲストとして斎藤が主演したドラマ「誘拐の日」での好演が話題となった子役の永尾柚乃が登場し、会場は大きな歓声に包まれた。永尾は「みんなが楽しんでもらえるよう頑張りたいと思って来ました。ここにいる方、全員友達です」と満面の笑みでコメント。斎藤は映画の脚本も書いているという永尾の才能を称えた。
斎藤はイベントの最後、「cinéma birdは“点”ではなく“線”になって初めて意味を持ちます」とし、「今日、この空間を通してみなさんと手を繋げたと感じているので、またお会いしましょう」と締めくくった。「cinéma bird」は、これからも「鳥のように自由に」、一生忘れられない劇場体験を持続的に届ける形を目指し、日本全国で開催していく方針だとしている。
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当