NHK「東京2025デフリンピック」関連番組を発表 アナウンサーが会見で意気込み

4年に一度開かれる、聴覚に障がいのあるアスリートたちの国際総合スポーツ大会「デフリンピック」が11月15日に開幕する。日本で初めて開催される本大会は、100周年記念大会と位置付けられている。東京や静岡、福島を会場に、70以上の国と地域から3000人を超えるアスリートが参加し、21競技が行われる。NHKでは、15日の開会式と26日の閉会式を生放送するほか、Eテレ、総合、BSで様々な関連番組を編成する。10月31日、東京・渋谷の放送センターでデフリンピックの放送に関するメディア説明会が開かれ、各番組を担当するアナウンサーたちが意気込みや番組の見どころをアピールした。

【写真(左から)北野剛寛アナウンサー、後藤佑季アナウンサー、千葉美乃梨アナウンサー、池間昌人アナウンサー】

 

11月15~26日 日本で初開催 15日は開会式特番を生放送

 

「デフリンピック(Deaflympics)」とは、「デフ」+「オリンピック」のことで「デフ(Deaf)」は、英語で「耳がきこえない」という意味。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、五輪と同様、4年に一度、夏季大会と冬季大会がそれぞれ開催される。大会の運営は、きこえない当事者団体が中心であることや国際手話が大会のコミュニケーション手段として使われる。

 

デフリンピックの競技ルールはその種目ごとに五輪に準じるが、聴覚障がいに配慮した視覚的な「情報保障」が随所に施される点が特徴だ。たとえば、スタートの合図は音声ではなく、フラッシュランプやライト点灯で行われ、審判の合図は旗や視覚表示で伝えられる。また、公平性確保の観点から競技会場に入った時点で補聴器や人工内耳(コクレア・インプラント)などの使用が禁止される規定が設けられている。

 

「東京2025デフリンピック」は11月15日から26日まで、東京を中心に開かれる。東京、大会開催県(静岡・福島)を含む複数会場で21競技が実施される。約70~80か国・地域から、選手約3000人を含む総勢約6000人が参加する見込みで、日本での開催は夏季・冬季を通じて史上初めてとなる。

 

メディア説明会の冒頭、Eテレ編集長・コンテンツ戦略局の石塚利恵専任部長は、デフリンピックの魅力を「音のない世界の中に、人間の豊かな表現とつながりが息づいています。選手たちはスタートの音が聞こえませんので、その代わりに光を見て反応したり、チームメイトの視線や表情を見てプレーに臨みますが、言葉や音を越えて信頼し合い、人と人とが伝え合いを分かり合う力が溢れています」と述べ、「デフリンピックがきこえない人のスポーツの祭典というだけではなく、音がなくてもこれほど人は伝え合えるんだという、驚きと感動を幅広い世代に共有していただけたらと思っています。そしてこの大会の魅力を私たちの番組を通してしっかり、丁寧に伝えていきます」と話した。

 

東京・渋谷の東京都体育館で15日に行われるデフリンピック開会式の様子をハイライトで放送する「世界のデフアスリートが集結 開幕!東京2025デフリンピック」(Eテレ午後8時)からは、МCを務める北野剛寛アナウンサーと後藤佑季アナウンサーが登壇した。全国手話検定3級を持つ北野アナは「東京パラリンピックの時に、障がいがある皆さんが自分の限界に挑戦している姿にすごく胸を打たれました。そして、デフリンピックが東京で行われるということで、何か力になりたいなと思っていたところ、開会式番組の司会をさせていただくことになりました。一生懸命、選手や競技の魅力をお伝えできたらと張り切っています」とコメントした。

 

生まれたときから聴覚障がいがあり、左耳に人工内耳をつけて仕事や生活をしている後藤アナは「外観からは見て気づかない障がいだからこそ、理解されるのが難しかったりして、なかなか社会の中に入り込めない人たちがいます。そんな人たちが、今、デフリンピックをきっかけに、いろいろなところで活躍しています。そういう人たちの姿や選手の皆さんの思いをたくさん取材し、しっかり伝えたいと思っています」と意気込みを話した。

 

Eテレの福祉情報番組「ハートネットTV#ろうなん」の司会を務めている千葉美乃梨アナウンサーは、5日午後8時から放送される「ハートネットTV#ろうなん11月号~開幕直前!わたしの推しデフアスリート~」について、「開幕直前の選手の最新情報とともに、過去に行われたデフリンピックにまつわるクイズコーナーなど、ちょっとマニアックに深掘りした内容でお届けしたいと思っております」と見どころをアピールした。

 

デフリンピック閉幕直後の26日、Eテレで午後8時から放送される「ハートネットTV#ろうなん~デフリンピック閉幕スペシャル~」は、12日間の熱戦を生放送で振り返る。千葉アナとともに同番組の司会を務める池間昌人アナウンサーは「多くの選手たちがどんな活躍をしたのかを振り返りたいと思っています。大会での選手たちの活躍を期待しながら、閉会式スペシャルに臨もうと思っております」と話していた。