NHK連続テレビ小説「ばけばけ」 雨清水タエ役の北川景子さんがコメント
「人間は危機に直面したときの生き方が大事」
現在、第6週「ドコ、モ、ジゴク。」が放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。雨清水タエは松江でも随一の名家に生まれ、大勢の女中たちに囲まれながら何不自由なく育った。凛とした気品と厳しさを兼ね備えている。トキにも礼儀作法やお茶など武家の娘としての教養を厳しく教えているが…。
そんな雨清水タエを演じている北川景子さんのオフィシャルコメントが届いた。
――出演が決まってのお気持を教えてください
朝ドラにはご縁がないんだろうなと思っていたので、お話しをいただいた時は「えっ、朝ドラですか」とびっくりしました。若い頃、すごく出たくてチャレンジしていたので、とてもうれしかったです。
ただ、今は子どもが2人いるし、撮影場所が東京ではなく大阪で。撮影期間も長いので喜びと同じくらい家庭と両立していけるのか不安があったのですが、夫やお互いの両親が協力すると背中を押してくれました。演出の村橋(直樹)さんは大河ドラマ「どうする家康」でもご一緒しました。一回ご一緒した方から声がかかるのはすごくうれしいです。タエの登場シーンは朝ドラというより大河みたいで、「あれ?朝ドラって聞いてたんやけどな」と思いました(笑)。一人で大河をしている感じも面白かったです。
――雨清水タエさんはどんな人物ですか
タエは自分が雨清水家の人間であることをすごく誇りに思っている、王道の武家の娘です。家を継ぐ人の支えとなって家を守っていくことへの誇りが強いので、そこは大事に演じようと意識しました。
時代が変わり、夫の傳も亡くなって働かなくてはいけなくなりますが、突然言われても生活能力がないし、やり方が分からないし、そもそもやりたくもなかったのではないでしょうか。誇りを捨てて泥臭くお金を稼ぐなんて、タエにとっては死ねと言われたのと一緒。もし独り身だったら切腹していたはずです。でも、三之丞を野たれ死にさせるわけにはいかないので、食べさせていくために物乞いをして生きているんです。間違った形であれ、親としての愛情を持っているのもタエの魅力的だと思うので、そこをうまく演じられたらいいのかなと思います。

長男を亡くし、次男は出奔。生きてくれている三之丞をなんとか立派に育てたい一心で、施しを受けても下げられなかった頭を下げられるようにもなりました。だけど、物乞いでも誇りを持つのはタダじゃないですか(笑)。なので、かっこ悪いかもしれないけれど、この先どうなったとしても誇りは捨てずに持ち続けようと思います。その誇りは三之丞にもどこかで持っていてほしいですね。
――印象的だったシーンを教えてください
第3週15回で三之丞に「手放した分、愛おしくなるなら、だったら私も他所で育ちたかったです」と言われた時は、いかに間違った育て方をしていたのかを目の当たりにして愕然としました。あんなに三之丞を追い込んでいたとは、親としての呵責を感じましたね。傳さんの「何を言うんじゃ、三之丞」というセリフも台本よりずっと切実な響きを持っていました。

三之丞役の板垣李光人さんは、彼が17歳で初共演した時から冷静で堂に入っていて中身が30~40歳ぐらいの風情。今回はもう本当に三之丞としてそこに息づいているので、私は彼の表情や細かい芝居を殺さないように存在できたらと思っています。
傳役の堤真一さんはずっとドラマで拝見していた方なので夫婦役なんて信じられませんでしたし、本当に光栄でした。初共演でしたが堤さんが合わせてくださったおかげで、傳とタエの連れ添った夫婦の雰囲気も出せた気がします。タエの方が家柄が上なので「傳」と呼び捨てにしていましたが、家々が決めた結婚だとしてもタエは本当に傳を愛していたことが台本の端々から感じられました。

――生みの親であるタエはトキに対してどんな気持ちだと感じられていますか?
あの時代なのでトキについてはもう気持ちが割り切れていると思います。子どもが生まれない家にはたくさん生まれたところから渡し、家の力を強くすることが大切だとタエも教えられてきたはず。過去に私が演じてきた武家の娘もそうでした。傳さんも死に際に「わしとおタエの子ではない」と明言していましたし、タエもその通りだと思っているのではないでしょうか。もちろん母性やトキを手元に置いておきたい気持ちもあったと思いますが、松野家を途絶えさせるわけにもいきません。愛情を持って育ててくれる親族にお渡しした以上は口出ししないのがルールですし、おフミさんに失礼になるので「産んだお母さんは私」という空気だけは出さないように気にしながらやっていました。
――ドラマの見どころと視聴者へメッセージをお願いします
ふじきみつ彦先生の脚本は深く描く部分と跳ねる部分のバランスが良く、真剣にやるところはやるし笑わせるところは笑わせるので、そのメリハリがとてもおもしろい作品になっていると思います。

豪華すぎる叔母という感じで登場したタエは物乞いとなりましたが、やはり人間は危機に直面したときの生き方が大事。死にたいところを死なず、タエなりに諦めず、自分と向き合いながらなんとか生きようとする姿、そして息子を生かせようとする姿を見守っていただけたらうれしいです。この先どんな話になるかまだ私にも分かりませんが、タエと三之丞の親子関係にどこかで雪どけが来ることを信じながら頑張ります。
■2025年度後期連続テレビ小説『ばけばけ』(全25週/125回)
[総合](月~土)午前8時~8時15分ほか(土曜日は1週間の振り返り)
[BS][BSプレミアム4K](月~金)午前7時30分~7時45分
【作】ふじきみつ彦
【音楽】牛尾憲輔
【主題歌】ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
【制作統括】橋爪國臣
【プロデューサー】田島彰洋 鈴木航 田中陽児 川野秀昭
【演出】村橋直樹 泉並敬眞 松岡一史 小林直毅 小島東洋
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当
最新の投稿
エンタメ2025.11.06NHK連続テレビ小説「ばけばけ」 雨清水タエ役の北川景子さんがコメント
エンタメ2025.11.06NHK連続テレビ小説「虎に翼」スピンオフドラマ『山田轟法律事務所』愛知ロケ取材会
エンタメ2025.11.05NHK連続テレビ小説「ばけばけ」 錦織友一役の吉沢亮さんがコメント
エンタメ2025.11.05NHK「東京2025デフリンピック」関連番組を発表 アナウンサーが会見で意気込み