NHK「Last Days 坂本龍一 最期の日々」が国際エミー賞を受賞
NHKは11月25日、2024年4月7日に総合で放送したNHKスペシャル「Last Days 坂本龍一 最期の日々」が、国際エミー賞のアート番組部門で最優秀賞を受賞したと発表した。
国際エミー賞は、世界の主要メディアや、テレビ業界に関わる企業・組織などから約900のメンバーが加盟する「国際テレビ芸術科学アカデミー」(IATAS、1969年設立)が主催する国際コンクール。アメリカ合衆国外で制作・放送された優れたテレビ番組を顕彰する賞で、今年て53回目を迎える。授賞式は現地時間11月24日にアメリカ・ニューヨークで行われ、ニュース、アート、コメディー、ドキュメンタリー、ドラマシリーズなど計16部門での表彰が行われた。
本番組は、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のメンバーとしてテクノ・ミュージックで世界に衝撃を与え、その後も独創的な音楽で多くの人の心をとらえた坂本龍一氏の最期に迫ったドキュメンタリー。坂本氏の最晩年の日記には「死刑宣告だ」「安楽死を選ぶか」という闘病生活の苦悩や「音楽だけが正気を保つ唯一の方法かもしれない」「残す音楽、残さない音楽」といった音楽を深く思考する言葉など、本音が刻まれていた。知られざるYMOのメンバーとの交流や最後になってしまった未発表の曲も紹介され、坂本氏のファンのみならず多くの人々の心を打った。
このドキュメンタリーは、2024年ローズ・ドール賞(アート部門)を受賞したほか、先月行われた2025年イタリア賞ですべての出品作品の中からもっとも文化・芸術面で優れた作品に贈られる「イタリア共和国大統領特別賞」とテレビ・パフォーミングアート部門の部門最優秀賞「イタリア賞」を受賞している。
今回の受賞の結果を受け、制作統括・松宮健一氏は「死を目前にしても、命は光り輝くことはできるのか。葛藤を抱えながら制作したこの番組が世界的に評価されたことを大変名誉に思います。しかし、同時に、より大きな責任を背負ったと感じています。芸術や文化をどう描けば新しいのか、社会の中でTV ドキュメンタリーの役割とは何か、より深く考えていきたいと思います」とコメントしている。
NHKスペシャル「Last Days 坂本龍一 最期の日々」ⒸNHK
この記事を書いた記者
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