2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』主演・仲野太賀が語る豊臣長秀の人間力
戦国の世を駆け上がった天下人・豊臣秀吉。秀吉の出世の陰には常に兄を支え続けた弟の存在があった。2026年1月4日に放送が始まるNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、戦国史では名補佐役として語られることの多い豊臣秀長を主人公に据え、その生涯を描く。温厚で誠実、争いを避けながらも組織をまとめ上げた秀長は、乱世にあって異色の存在だった。主演を務める仲野太賀はどのように秀長に向き合い、その内面にある葛藤や覚悟を演じるのか。仲野が語る秀長像と役づくりへの思いから、新たな大河ドラマの姿が浮かび上がる。
「彼だからこそ見えていた景色をすごく大事にしたい」
――主役のオファーを受けた時の心境は?
大河ドラマにはこれまで5作品に出演させていただきましたが、そのたびに作品の真ん中に立っている先輩方が本当にかっこいいなと思っていて。そういう憧れが“いつか自分も主役をやってみたい”という夢になりました。しかし、俳優を続ける中でそれがどれだけ遠いものなのかを痛感するようになり、気づいた時には頭の片隅に追いやっていました。そんな中、主人公のオファーをいただいた時は、頭の片隅にあった夢がいきなり目の前に突如として現れ、こんなことってあるんだって本当に驚きました。
――豊臣秀長とはどんな人物だと捉えていますか
豊臣秀長という人は、兄の秀吉に振り回されながら、一歩下がって支え続けた名補佐のようなイメージが強いと思います。そういう定番の人物像をある程度守りながらも、一方で青年期の小一郎時代は“この人はこういうことはしない”とか、自分の中で制限をかけてしまうと、どんどん人間が小さくなってしまうような気がして、演じる上ですごく悩みました。今回の物語がどういう結末になるのか、僕もまだ知りませんけれど、記録があまり残っていない青年期に関しては、見てくださった方が意外に思うような、能動的に生きている人物に見えるかもしれません。やるからには小一郎を生き生きと、生命力がしっかりある人間として演じたいと思って取り組んでいます。

秀吉はものすごい情熱を持ち、上へ上へ昇って天下を統一して成り上がった人です。そんなカリスマ的な才覚を持った人のすぐ隣にいた秀長は、秀吉には見えなかった家臣や市井の人たちの気持ちや姿といったものが見えていたのかも…と考えています。なので、そういう彼だからこそ見えていた景色をすごく大事にしたいです。
――秀長の魅力的な点と自身との共通点は?

小一郎は百姓の時、村が野盗に襲われ、畑や大事な人を失うなど、暴力による痛みや悲しみを体験しました。だから侍になってからも無駄な争いをなるべく避け、いかに争わずにみんなが笑って生きることができるのか、という願いを心の真ん中に持っています。それは本当にとても素敵だと思います。今、この瞬間も世界では争いが絶えない状況です。それは人間だから仕方ないことなのかもしれませんが、小一郎みたいなリーダーがいたら、もっと世界は平和な世の中になるのかなとか、そんなことを想像してしまいます。自分との共通点はあまり考えたことはないのですけど…次男というところかな(笑)。
――主人公を演じるプレッシャーは?
プレッシャーもありますけれど、自分はそれが力になるタイプだと思っています。時代劇なので所作や殺陣、乗馬の稽古などはありますけど、すごく楽しくやらせてもらっています。特に乗馬が大好きで“もう行かなくていいんじゃないか”みたいな空気になっているんですけど、乗馬練習だけは続けてやらせてもらっています。だからプレッシャーといっても楽しいプレッシャーです。
――最後に戦国時代のイメージをお聞かせください

戦国時代はやっぱり大河ドラマの王道ですよね。『豊臣兄弟!』でも有名な武将がたくさん登場し、目まぐるしいほど物語が展開します。当然、現代劇とは大きく違い、生きる、死ぬという、極限状態がすごく身近にある。そういう振り幅はやはり戦国ものならではで、俳優としてすごく演じがいがあります。また、その一方で『豊臣兄弟!』はとても軽やかで青春活劇のようなポップさもあり、見る人を選ばない誰が見ても楽しめるエンタメ作品になっていますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
■2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」
放送:1月4日(日)スタート〈総合〉午後8:00ほか
出演:仲野太賀、池松壮亮、浜辺美波、白石聖、大東駿介、松下洸平、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
原作・脚本:八津弘幸
音楽:木村秀彬
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当



