世界最大級の家電イベント「IFA」 来日したIFA CEOが日本企業へ参加を呼びかけ

世界最大級のホーム&コンシューマ・テクノロジーイベント「IFA Berlin」を運営するIFA Management GmbHの最高経営責任者(CEO)、ライフ・リンドナー氏が11月19日、都内で記者会見を開き、「日本はアジアにおけるイノベーションと成長を牽引する極めて重要な役割を担っている」と述べ、日本のテクノロジーパートナーとの緊密な協力関係を改めて表明した。さらに、次期開催の「IFA/国際コンシューマ・エレクトロニクス展2026」(IFA 2026)に向けた取り組みを発表した。

 

IFA Management GmbH CEO、ライフ・リンドナー氏

 

リンドナー氏は会見の冒頭、自己紹介の中で、IFAに入社する前にドイツのSamsung Electronicsに15年間、またソニーに5年間勤めていた経験から「日本のイノベーションについては少々知っているつもりだ」と語り、個人的なエピソードとして最近、埼玉のスーパーアリーナで開催された日本のヘビメタフェスに参加し、楽しい時間を過ごしたことを明かした。

 

プレゼンでリンドナー氏はIFAのテーマは「未来を想像する」であるとし、現在はドイツ語の名前は使っておらず、リブランディングしたと説明した。IFAは、すべての人へのイノベーションを意味しており、「イノベーション」「文化」「ビジネス」がすべて一つの屋根の下に集まる場であると強調した。そして「人々が絶えず画面をスクロールしている今の時代においても実体験は重要。人々は見て、触って、接点を持つということをいまだに重要視している」と述べ、IFAがイノベーションのグローバルプラットフォームになっていると主張した。さらに日本については「テクノロジー精度、イノベーティブな精神、品質において唯一無二の存在」と称賛した。そして「IFAはアジアとヨーロッパを結ぶ架け橋であり、大企業、スタートアップ企業、消費者が対等に交流できる場。IFAこそがイノベーションと進化のためのグローバルステージだ」と強調した。

 

昨年9月に開催された「IFA 2025」の実績については、来場者数が140か国から22万人(前年比5%増)、出展者数が49か国から1900社(前年比5%増)を迎えたと発表。日本からのBtoB来場者数は2024年比で合計58%増加したと報告し、国際小売バイヤーの参加率は67%(前年比10%増)と高水準で推移した点に触れた。特に成長が顕著だった領域はコンピューティング&ゲーミング、コンテンツクリエーション、デジタルヘルス&ビューティーテック、スマートホームを挙げた。また、ライブコンサートやポッドキャストで構成された「IFA Sommergarten」は、Z世代・アルファ世代に強くアピールし、来場者を惹きつけるハイライトとなったと紹介した。さらに、スタートアップに特化した「IFA Next」には28か国から260社が参加したと報告した。

 

続いて2025年の日本経済についてリンドナー氏は「堅調に推移しており、5四半期連続のプラス成長を達成。耐久消費財への購買意欲も上昇しており、日本はテクノロジーイノベーションを推進する上で理想的な市場だと位置づけられる」と指摘した。こうした背景から日本のメーカー、ブランド、メディアとの戦略的関係をいっそう強化する方針だとし、「日本企業にとってIFA 2026は、再びグローバルステージで革新性を発信できる絶好の機会となる。国際的な認知度や消費者・小売バイヤーとの直接的な接点に加え、欧州の市場・テクノロジートレンドに関する貴重なインサイトも提供する。さらに、メディア、投資家、戦略的パートナーとの交流機会を拡大することでグローバル市場での成長を加速させる理想的なプラットフォームを提供する」とアピールした。

 


2025年4~6月期の日本の実質GDPは5四半期連続のプラス成長を記録

 

IFAの意義についてリンドナー氏は「売り上げの最大化というところが重要なのではなく、最も重要なのは、適切なパートナーを世界中からイノベーティブなパートナーをお迎えすること」と述べ、質の高い展示会へと進化していると説明。日本のイノベーションに対する期待として、ソニーが新しいテレビ技術をアジアではなく、IFAで紹介した決定を「大変に誇りに思う」と述べた。一方、日本の企業は製品の品質やイノベーションが非常に高いにもかかわらず、まだ国際的に十分認知されていないとして、「IFAを利用して自身の戦略を説明し、製品を紹介するということをすべきだと私は思う」と提言した。

 

IFAの今後の戦略については「AIとロボティクスがキートピック。2025年のIFAでは、多くの企業が家庭内で使えるロボットを展示した」と述べ、AIについてはカンファレンスのトピックとして取り扱うことで「おそらくキートピックの一つとしては、AIというのが必ず挙がってくるのではないか」と考えを示した。モビリティ領域については「すべてのビッグブランドがモビリティのソリューションをインフラに取り入れている」と説明し、IFAは車の安全運転を取り込む企業との関わりを深めたい意向を示し「日本の企業も参加していただきたい」と呼びかけた。

 

「IFA 2026」は、2026年9月4日から8日までベルリンで開催される予定。会見の最後にリンドナー氏は「IFAは人をつなぎ、東と西をつなぎ、クリエイターと消費者、そして今日と明日の間に橋をかけていく」とメッセージを送った。