
KDDIが新社屋での取組の実施状況を公開、JR東日本、ローソンとの共同による高輪での「未来への実験」の一環で
KDDIは7月24日、東京都港区高輪の新社屋で見学会を開催した。JR東日本(本社:東京都渋谷区、喜㔟陽一代表取締役社長)やローソン(本社:東京都品川区、竹増貞信代表取締役社長)をはじめとする共創パートナーとともに「TAKANAWA GATEWAY CITY」で実現を目指す、「未来への実験」の一環として進める取り組みの実施状況を公開した。
◇オフィス特化型コンビニ店舗「Real×Tech LAWSON」
KDDI本社が入るツインタワー「THE LINKPILLAR」17階にオープンした「ローソンS KDDI高輪本社店」を公開した。
同店舗は利用者がKDDI社員に限られる環境を活かし、オフィスで働くオフィスワーカーの生産性向上等に寄与する利便性や体験価値の提供を目指したコンビニエンスストア。事前に社員約一万人を対象に実施したアンケート結果を元に、オフィスワーカーの利便性・体験価値向上を目指す実験場として専用アプリ「オフィスローソンアプリ」を軸とした「スマホセントリック」な購買体験を提供していくとしている。
店舗では、専用の「オフィスローソンアプリ」に、商品をスマートフォンからその場で購入できる「スマホレジ」を導入。店舗内にレジが存在しない店舗で、店舗運営の省人化とともに、待ち時間がないスムーズな購買体験を実現する。またオンライン決済の利便性を取り入れ、ローソンのスマホレジの標準機能に、商品をカートに追加すると関連商品がレコメンドされる機能や、商品のバーコードをスキャンせず購入履歴などからワンタップでカートに追加できる機能も備えている。
店舗からは合計10台の配送ロボットによる回遊販売とデリバリー販売も実施している。回遊販売は、店舗の商品を搭載した配送ロボットがオフィス内の各フロアを自動巡回。ロボットの現在位置や在庫情報はアプリ上で確認でき、欲しい商品があれば近くにいるロボットから商品を取り出し、アプリで決済をすることで購入できる。またデリバリーは、別店舗の「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」と連携し、商品を注文すると配送ロボットがエレベーターやゲートなどファシリティと自動連携し、注文者いる各部署まで商品を自動配送する。
見学会では、アプリを使って利用者自らが商品のバーコードを読み取って決済する様子や、利用者各自に配信されるレコメンド機能、購買履歴をもとにした商品の割引クーポンの配信等のデモンストレーションが公開された。
◇顧客やパートナーとの共創拠点「TSUNAGU BASE」
本社13階に開設した「TSUNAGU BASE」は、顧客やパートナー企業との連携加速を目指して、KDDIの強みである通信、デジタルデータやAIといった「つなぐチカラ」と、「お客さまやパートナーの強み」を〝掛け算〟することで、社会に新しい価値を創出、発信する拠点。コラボレーションを促し、集う人々に「ハイパー・パフォーマンス体験」を提供することを目指すとしている。
「ともに一歩を踏み出す『Theater』」では、KDDIが創造を目指す未来像をイメージして作成した映像を発信したりプレゼンテーションの場としても活用する。「未来社会とつながる『Showroom』」では、KDDIが研究を進めている最新技術やソリューション、事業領域などを紹介。様々な展示物を通じて未来社会の一端を体験できる。「アイデアで技術と課題がつながる『Tomorrow Lab』」は、顧客やパートナー企業が抱える社会課題の解決に向けて対話する場として設置。KDDIとパートナー企業による最先端技術やアセットを掛け合わせた取り組みを紹介している。このほか、新規ビジネス創出やDX推進を支援するワークショップルームる「Idea Palette」、コワーキングカフェ「Lounge」などで構成されている。
◇都市OS連動回遊販売
JR高輪ゲートウェイ駅周辺では、デジタルツインプラットフォームを活用したまちづくりのための「ハイパー・パーソナル体験」の一端を披露した。専用アプリを入れたスマートフォン端末と連携し、駅改札を通過するとその時にその時に高輪で開催されているイベントや店の混雑情報など、個人の趣味嗜好に合わせてパーソナライズされた情報を、スマートフォン端末にプッシュ通知する。一人ひとりの状況や行動・趣味嗜好にあわせて最適なタイミングで情報を伝えることで、街への参加を促し行動の選択肢の幅を広げるのが狙いという。またKDDI社員証と連携して社屋ゲートでの同様の取組も実施している。
また駅前周辺に設置した防犯カメラのデータを使って、男女や年齢、親子連れといった来訪者の属性や状況をAIで分析。分析結果を元に回遊ロボットがそれぞれの好みに合わせた商品サンプルの配布や商品販売を実施する。これにより、来訪者の潜在ニーズに合わせた体験価値の向上を目指す。見学会では、認識したデータを基に回遊ロボットが親子連れ等にサンプルを届ける様子が公開された。
見学会ではこのほか、ドローンの実験スペースや、業務内容や特性に合わせて自律的に働く場所を選択できるABW(Activity Based Working)を再現し、キャンプ場をイメージして運動設備等リラックスできる空間を内包したワークスペース「Knowledge Camp」、回遊ロボットを使った商品配送のデモ等を公開していた。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。