
【CEATEC速報】電波産業会、伝送速度3.6Gbpsでギネス世界記録達成
電波産業会は「CEATEC2025」において、第 36 回電波功績賞を受賞した技術などを紹介した。
一つが総務大臣表彰を受賞した「だいち 4 号」(ALOS-4)によるLバンド合成開口レーダの観測幅拡大と衛星・地上局間の直接伝送速度 3.6Gbpsを達成」(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構、三菱電機)。
だいち4号は、Lバンド合成開口レーダ「PALSAR-3」により地球上を観測する人工衛星。Lバンド合成開口レーダはデジタルビームフォーミング技術の採用により 空間分解能を前号機と比べて 4 倍の 200km に拡大している。1回当たりの観測幅が広がるため、広域災害発生時の迅速な情報収集に貢献する。また、観測幅の広がりに伴い、データ量も増大してしまう。そのためKa バンドを用いた直接伝送系を開発、衛星と地上局間の通信速度を前号機と比べて 4.5 倍の 3.6Gbps(ギネス世界記録、地球観測衛星としては最速)に高速化することで、同一地点観測頻度を従来比 5 倍の年 20 回に向上し広域災害の情報収集や地殻変動監視の迅速化を可能にするなど、電波の有効利用に大きく貢献した。
もう一つは電波産業会会長表彰を受賞した「6G に向けたサブテラヘルツ帯での 100Gbps 超高速伝送の実現」(NTT ドコモ、NTT、NEC、富士通)。
6G時代はサブテラヘルツ帯(100GHz~300GHz)を用いた無線通信が計画されている。NTTドコモは100GHz帯無線システムを構築し、伝送速度100Gbps相当で100mの無線伝送に成功した。NTTは300GHz帯無線装置及び広帯域ミキサの研究開発を行い100Gbps/ch、100m無線伝送に成功した。NECは多数のアンテナ素子を平面上に配置したフェースドアレー方式を実施。富士通は送信用パワーアンプ(PA)の高出力化・省電力化をデバイスレベルから実施した。
この他、電波利用システムの実用化及びその普及を促進し、電波産業の振興・発展を図る事業の一環として、最近の事業活動について、「パネル形式によるARIBの概要及び研究開発活動」を紹介した。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。