「TOKYO NODE LAB」周年イベント開催
森ビルが運営する、虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE(東京ノード)」は、 2025年10月17日(金)~10月24日(金)の8日間、虎ノ門ヒルズ各所にて「新しい都市体験」の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」の周年イベントとして「TOKYO NODE OPEN LAB 2025」を開催中だ。それに先立ちプレスツアーを実施、TOKYO NODE LABで推進中のプロジェクトの紹介や、虎ノ門の街を舞台にしたXR作品の体験、日々活動する実験スペースやボリュメトリックビデオスタジオも公開した。
虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」は、2023年10月の開設から、様々な分野の企業やクリエイターとの共創によって、テクノロジー、サービス、アート、エンターテインメントなどの既存の領域に捉われない「新しい都市体験」を創出するプロジェクトを多数推進してきた。
同イベントでは、 TOKYO NODE LABの活動を街に開くことを目的に、活動拠点である虎ノ門ヒルズ ステーションタワーを中心に、多彩なプログラムを展開。XR、ボリュメトリックビデオ、生成AIなどの先端テクノロジーと、身体・物語・空間が交差する都市体験の機会を来街者に提供する。以下、いくつかを紹介する。
VOLUMETRIC VIDEO STUDIOは、自由に視点が変えられる3D映像の収録、編集、配信が可能な、最先端のボリュメトリックビデオスタジオ。次世代のXR表現としてボリュメトリックデータを必要とするユーザーに利用してもらい、撮影から配信まで一貫したサポートを提供する。

VOLUMETRIC VIDEO STUDIO
会場は面積:ステージ36㎡(撮影可能面積9㎡)で、天井高: ステージ3・8m(撮影可能高さ3m)。機材・備品は、音響(マイク/スピーカー)および映像がグリーンバックスクリーン(ステージ部分)。
ここに58台のカメラを設置。カメラの撮影データを集約してサーバー(IBM製)に送り、3Dデータに変換する。
プレスツアーでは、スタジオにスタッフが2名入り、楽器を演奏したり、踊りを踊ったりする模様を撮影し、3Dデータに変換され、さらに3Dメッシュに変換される。この処理はKDDI総合研究所の3Dメッシュ映像圧縮システムが用いられている。さらに、Wi―Fiでプレスツアー参加者の端末(スマホ)に送られ、映像を見ることができた。端末に表示されたスタッフを自由に角度などを動かすことができ、背景も変えることができた。レスポンスもスムーズであり、遅延は感じることはなかった。

3Dメッシュ映像圧縮システム
キヤノンは「EOS VR SYSTEM」を紹介した。同システムは、専用の交換レンズとEOS Rシリーズの対応カメラで構成され、アプリケーションで3D VR映像を効率的/高品質に制作できる。
主な特徴としては、1つのセンサーで左右2つの画像を記録するため左右映像の同期が不要、3DやVRの知識がなくても専用アプリで簡単変換が可能、RFレンズの大口径マウントとキヤノンの光学技術により8Kの高画質なVR映像を提供する、これまで撮影が難しかったシーンでも安定した撮影が可能などがある。

EOS VR SYSTEM
また、1枚の写真データから3D化する技術も紹介した。手順はDPRAW画像を1枚撮影。次に距離マップ作成&ポリゴン生成および画像貼り付けを行う。カメラで生成された高画質な画像をそのまま使用できる。最後にヘッドマウントディスプレイやタブレット、スマホなどに表示するもの。
特殊な撮影は不要で、高解像度・色再現性が良く、実物大の鑑賞や他の物体との大きさ比較が可能。1枚の写真データからで3Dを作成はできるが、厚さ方向の情報は少ないので、高精度な3Dを作る際は8枚程度の撮影が必要となる。

1枚の写真データから3D化
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この他、主な開催イベントとして、「新しい都市体験」の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」の周年イベントを実施(24日まで)する。会場は虎ノ門ヒルズ。ステーションタワー内各所。
TOKYO NODE OPEN LAB 2025のテーマは〝Actor―Network〟。AIの台頭、地球環境の持続可能性、あふれる複雑な社会課題。脱人間中心の時代を生きる我々は、都市でどのような文化を創造し、育むことができるのか。展示、ワークショップ、トークイベント、XR体験型イベントを中心に、この街で一年間創造されてきた様々なネットワークを、それに関わる人々や組織に焦点を当てながら展開する。
会期中は「TOKYO NODE LAB」を中心にしたプログラムと、虎ノ門ヒルズの街を舞台にした体験型プログラムを多数展開。「TOKYO NODE LAB」の今を街に開放し、技術や思考を未来へと解放する。様々な企業やクリエイターが参画し推進する都市体験を楽しむことができる。
ANNUAL EXHIBITIONは、TOKYO NODE LABに参画するメンバーが日々集う“研究と実践の現場”を、そのまま街へ開放する。XR、デジタルツイン、ボリュメトリックビデオなどを駆使した共同プロジェクトから、メンバー同士の対話から芽生えた小さなアイデアやコンテンツを一堂に集めた体験型展示。作品を見て、触れ、語り合うたびに来場者自身も次の共創者となり、人と人、人と都市、技術と感性が新たな線で結ぶ。会期2025年10月24日までで、会場は虎ノ門ヒルズステーションタワー8階TOKYO NODE CAFÉ/8階TOKYO NODE VOLUMETRIC VIDEO STUDIO。
TOKYO NODE LABでは、デジタルとリアルを横断したビジネス発信/コンテンツ制作を可能にするプロダクトを提供している。TOKYO NODE DIGITAL TWIN HALLはリアルとデジタルの融合するエンターテインメントの舞台。TOKYO NODEのイベントホール「TOKYO NODE HALL」をデジタルツイン化。音楽ライブやファンミーティング、ビジネスカンファレンスなどリアルな場のもつ熱狂を、テクノロジーによってデジタル空間に拡張する。前述のVOLUMETRIC VIDEO STUDIOは、ボリュメトリックビデオ技術を活用したコンテンツ・ビジネスを開発する。
「PROTOTYPE EVENTS」は、都市空間に立ち上がる、創造の“兆し”に焦点を当てた新プログラム。街なかのサイネージをデジタルアーティストに解放する「DIGITAL SPRINGBOARD」など、いずれも実験的で遊び心に満ちた都市文化をインストールする試み。DIGITAL SPRINGBOARDは、TOKYO NODE LABとNEORTが協業し、公募によって選出されたデジタルアーティストの映像作品をTOKYO NODEのサイネージに展示する。開催期間は2025年10月10月24日までで、時間は5:00~24:00。場所は日比谷線虎ノ門ヒルズ駅改札正面ステーションビジョン。主催はNEORT/TOKYO NODE LAB。
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。

