アストロデザイン パドック映像マルチ配信システムのAI切り出し

 アストロデザイン(東京都大田区、難波豊明社長)は、「最先端のその先に アストロデザイン」をテーマにInter BEE 2025 に出展した。「イマーシブ・ディスプレイ・ソリューション」、「ライブエンターテインメント・ソリューション」、「放送IPソリューション」をテーマとして、最先端の映像体験と技術ソリューション、そして2025年の新製品を紹介した。
 「イマーシブ・エンターテインメント」では、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)では実現出来ない「みんなで見られるVR」による没入体験を紹介。複数台のプロジェクターと高精度なブレンディング技術により実現される「イマーシブ・ディスプレイ・システム」を展示した。
 「ライブ・エンターテインメント」では、「パドック映像マルチ配信システム」におけるAI切り出しを展示した。2025年6月28日に開催された安田記念(GI)のパドックの模様を、2 台のアストロデザイン製 CCU分離型8Kカメラシステム 「AB―4834/AC―4829―D」で撮影。パドック全体の映像から、アストロデザインが開発を進めているAI認識システムを活用し、リアルタイムに最大18頭競走馬の映像を切り出すもの。配信まで行うシステムとしては世界初となるという。リアルタイムでのマルチ配信画面切り出しには、アストロデザインの超低遅延ハードウェア・ビデオプロセッサ「MC―2087」を使用し、高信頼性とリアルタイム性を両立している。
 「パドック映像マルチ配信システム」は、アストロデザインの8KカメラとAI映像切り出し技術、PLAY(東京都渋谷区)の動画配信プラットフォームサービス・STREAKS を活用して、自動で馬毎のパドック映像をリアルタイム配信するもの。競馬場に行かなくても見たい馬の パドック映像を自身で選択しながら好きなだけ見られるため、 これまでにないパドック視聴が可能となる。すでに、天皇賞(秋)【2025年11月2日(日)】に、同システムのテスト運用に行っている。アストロデザインは、「8K撮影・伝送システム」の構築、及び「AI切り出しシステム」の構築を担当した。
アストロデザインが長年培った「放送用 8K映像システム」と、 累計出荷台数500台以上の「リアルタイム・マルチ画面制御ビデオプロセッサMCシリーズ」、そして同社が独自に開発を行っている「映像AIシステム」の組み合わせにより、 ライブエンターテインメントにおける現場撮影の省人化と、 ファンマネジメントの向上に寄与するシステムを構築した。
 また、累計出荷台数500台以上を誇る業界標準ビデオプロセッサの新シリーズ「MCI―2186」を展示。新設計の小型筐体に、最大64入出力に対応した次世代ビデオプロセッサーで、最新のIPビデオ入出力(ST2110)への対応により、光ファイバーによる長距離配線へも対応した。会場では、バッテリー駆動も可能な省電力135inchモバイルLEDディスプレイ(SiliconCore社提供)、ライブスポーツグラフィックス・システム(デジキャス社提供)と組み合わせて、ライブ・エンターテインメントの現場に即したデモ展示を行った。
「放送IPソリューション」では、SMPTE ST2110によるIP映像制作業務用機器、SRTによるIPライブ映像制作用機器を中心とした「放送IPソリューション」を紹介した。
 放送品質IP対応情報カメラ「AB―4404」は、SRT受信装置「TR―5004」との組み合わせで、暗号化IP通信による映像送受信システムを実現する。
 また、ST 2110 対応オーディオレコーダー/プレイヤーの新製品「AR―7102/RB―7102」を展示。高い視認性を誇る大型タッチパネルを搭載した PoE 対応のリモートコントローラー1台で、ST2110に対応したレコーダー/プレイヤーを最大4ストリームまでコントロール可能とした。
 ベストセラー機となったアストロデザイン製オーディオモニターが、新たにST2110―30を搭載した「AM―3840/AM―3845/AM―3849」として登場。従来のSDI、MADI、AES、ANALOGのインターフェースも継承し、あらゆるシーンでの音声信号監視が可能となる。