メディアリンクス、国内民放初※となるPTPを利用した放送TS信号のFPU伝送実験に成功

※2025年4月 5社調べ(民放以外で、PTP対応の専用変換機を使用してFPU伝送した事例はあり)

株式会社メディアリンクス(代表取締役社長 菅原司、本社:川崎市)、アストロデザイン株式会社(代表取締役社長 難波豊明、本社:東京都大田区)、株式会社国際電気(代表取締役社長執行役員 佐久間嘉一郎、本社:東京都港区)、セイコーソリューションズ株式会社(代表取締役社長 関根淳、本社:千葉市)、株式会社毎日放送(代表取締役社長 虫明洋一、本社:大阪市)は、2025年3月8日に、FPUによってPTP非対応のIPネットワークを構築し、PTPを利用した放送TS信号を伝送する実験に成功したと発表しました。

今回の検証実験では、メディアリンクス社製のIP伝送装置(以下、MDP3020 SFN)を使用し、16.6km離れた生駒山から毎日放送本社へ、PTPと放送TSを伝送しました。放送TS信号をMDP3020SFNでSMPTE ST2022-2に準拠したIPパケットにして伝送、PTPはセイコーソリューションズ社製のPTPグランドマスタークロック(TS-2910)で、Default profile(IEEE1588v2)に準拠したPTP にて伝送しています。伝送路には、国際電気社製の7GHz帯、10GHz帯FPU(FR15-ZS200)を2対向使用し、双方向にTS伝送可能な回線をマイクロ波で構築しました。FPUのTS入出力をIPに変換するための装置(IPoverTS)は、アストロデザイン社製のCX-5548Aを使用しました。PTP伝送に対応した特殊な機器ではなく、汎用的な機器を使用して、FPUによるIP回線を構築しました。これまでは、PTP非対応のIPネットワークでは、パケットの伝送遅延が変動し、PTPに求められるマイクロ秒単位の時刻同期精度で伝送することは不可能でした。この検証実験で、受信側となる毎日放送本社に、伝送遅延の変動を平準化できるネットワークアディションズ社製のRPTP装置を使用することによって、PTPを利用した放送TS信号のFPU伝送を実現しました。

今回の実験は、メディアネットワークの高い技術力を持つメディアリンクス、TS処理装置の実績が豊富なアストロデザイン、FPUの新たな取り組みを長年継続している国際電気、放送業界のIP化システムへの移行におけるPTP 同期をサポートするセイコーソリューションズ、近畿広域圏で地上基幹放送事業を行う毎日放送の5社が協業しました。

■実験概要図


今後は、国際電気と毎日放送で共同開発中のFPUを使用し、上図における2対向のFPUを異なる周波数で運用するのではなく、デジタルキャンセル処理によって同一周波数で回線構築する実験も検討しています。地上デジタル放送中継ネットワークを構成する伝送方式を多様化、冗長化する事で、今まで以上の強靭化が可能になります。災害時などのBCP対策にも有効な伝送手段になるよう、引き続き検証に取り組んでいくとしています。