アイコム  8/23、24 有明GYM-EXで開催「ハムフェア2025」に出展

リモート操作やスターリンク活用技術を展示

 

無線通信機器大手のアイコムは、8月23日、24日の2日間、有明GYM-EX(東京都江東区)で開催される国内最大級の祭典「ハムフェア2025」に出展する。ブースでは、11種の無線機やアンテナなどの周辺機器を展示する。特に、遠隔地から無線機を操作できるリモートコントローラーの体験コーナーや、米スペースX社の衛星通信網「スターリンク」を活用した次世代の通信技術を紹介する予定。

 

展示の目玉となる「遠隔運用コーナー」では、今年4月に発売したリモートコントローラー「RC-7760」を使用し、奈良県の同社研究所に設置されているアマチュア無線機「IC-7760」(2024年8月発売)の本体を遠隔操作できる。なお「RC-7760」は、大阪・関西万博会場内に開設された特別記念局の運用でも活用されている。

 

 

「次世代ソリューションコーナー」では、通信インフラが未整備な山間部や離島でも無線機をインターネットに接続でき、次世代の通信技術として注目されるスターリンクを活用した無線通信技術を紹介する。コーナーにはスペースX製アンテナも設置される。ブースの受付では、AIロボット「temi(テミ)」が来場者を出迎えるという。

 

アイコムは1954年、創業会長の井上徳造氏が起業した。社名が井上電機製作所だった1964年には、当時主流だった真空管ではなく、トランジスタを全面採用した時代を先行する第1号機「FDAM-1」を開発した。

 

 

日本が1975年にアマチュア無線局数で米国を抜き、世界最大の「ハム王国」となる中で、同社も大きく業績を伸ばした。特に1980年に発売したハンディ機「IC-2N」は、周波数の切り替えをダイヤル式のサムホイールスイッチで行う世界初の無線機として画期的な製品だった。その操作性の高さから世界中で圧倒的な評価を得て、歴史に名を刻む異例の大ヒットを記録した。創業会長の井上氏は、業務用を含む本タイプの販売台数が220万台以上となり、おそらく世界で一番売れたハンディ機ではないかと話している。この製品は、少ない部品数で多くの周波数の利用を可能にした特許技術「PLL回路技術」によって実現し、同社はこの技術を独占せず、トランシーバーの小型化に世界的な貢献を果たした。 さらに、1988年には世界のアマチュア無線家から「夢のマシン」と称された名機「IC-780」を発売した。全面ディスプレイの採用や周波数のスペクトルを視覚的に表示するスペクトラムスコープの搭載など、現在の製品の礎となる高い機能性を実現し、人気を博した。

 

2016年1月には、プログラミング可能な集積回路(FPGA)を使用し、「RFダイレクト・サンプリング方式」を日本のアマチュア無線機として初めて採用した「IC-7300」を発売。

 

 

同製品は、高周波のHF帯の入門機でありながら本格的な性能を実現し、発売から9年を迎える今も出荷台数を伸ばすロングセラーとなっている。累計出荷数は10万台を突破し(2024年1月時点)、販売国数は約150カ国に広がり、全世界のハム愛好家の約30人に1人が本製品を購入している計算になる。