Infrgy、AIを活用したビームフォーミング技術による高性能なワイヤレス電力伝送

自動化されたソフトウェア定義無線(SDR)の利用を先駆的に行い、無線周波数を集束させることで、効率向上と通信範囲の拡大を実現する

Infrgy合同会社は、カシミール大学にて同社の画期的なワイヤレス電力伝送(WPT)技術開発における次の段階となる実証を行いました。この技術的進歩では、人工知能(AI)とソフトウェア定義無線(SDR)を組み合わせたビームフォーミング技術を活用し、無線信号を特定の方向へ集束させ、信号強度を向上させ、干渉を低減します。これらの技術を組み合わせることで、ワイヤレス電力伝送をこれまで以上に正確で、適応性が高く、拡張性のあるものにする可能性を秘めています。

Infrgyの共同創業者であるパルヴェズ・リシ氏は、次のように述べています。「ロウフ・ウル・アラム・バット教授と協力し、当社のエネルギーハーベスティング技術およびワイヤレス電力伝送技術の開発を継続できることを大変嬉しく思います。従来のRF(高周波)ワイヤレス電力伝送技術が、一般的にマイクロワットからミリワット単位の電力しか伝送できないのに対し、AIを活用したビームフォーミングを用いる当社の革新的技術は、より長距離にわたって数ワットレベルの電力伝送が可能です。」

基本概念
従来のワイヤレス電力伝送は、主に電磁場を用いて離れた場所へエネルギーを供給する技術です。しかしながら、電波の自然な拡散による損失により、そのエネルギーの大部分が周囲に放散されてしまい、伝送効率が大幅に低下する原因となっていました。ビームフォーミングとは、元々は通信システムで用いられていた技術で、複数のアンテナからの電波の建設的干渉を利用し、特定のターゲットに対して電磁波を指向させる技術です。このようにエネルギーの流れを集中させることで、ビームフォーミング技術は伝送損失を最小限に抑え、実用的な電力伝送距離を伸ばすことが可能になります。

ソフトウェア定義無線
ソフトウェア定義無線(SDR)は、アンテナ制御と伝送パラメータ調整をリアルタイムで行うための、柔軟で再構成可能なプラットフォームとして極めて重要な役割を担っています。ハードウェアによる制約を受ける従来のシステムとは異なり、SDRは様々な状況の変化に動的に適応することが可能です。

AIの役割
AIと組み合わせることで、SDRベースのビームフォーミング技術は知能化され、ユーザーの位置を学習し、エネルギー需要を予測し、最大限の効率が得られるように伝送戦略を自動で最適化することが可能になります。AIは、これまで機械的だったエネルギー伝送のプロセスに、自律的な知能という新たな層を加えることになります。