ウェザーニューズ 放送局向けサービス「お天気原稿エージェント」の試験提供スタート AI活用で天気原稿の作成を省力化

ウェザーニューズ(千葉県千葉市、石橋知博社長)は、法人向け気象情報サービス「ウェザーニュース for business」において、AIを活用した放送局向け「お天気原稿エージェント」の試験提供を10月7日より開始した。これにより、放送局は最新の気象情報を元に番組のニーズ(地域性や放送時間)に合わせて、天気原稿を自由かつ迅速に作成できるようになる。

 

放送尺や状況に合わせた原稿を自動作成する「お天気原稿エージェント」

 

これまでウェザーニューズは放送局向けに、アナウンサーやパーソナリティが読む完成された天気原稿を提供してきた。しかし、現場の状況により天気コーナーの放送尺は変化することもあり、原稿の調整が必要だった。また、自社で天気原稿を作成している小規模な放送局では、当日の担当者が天気や予想気温、風などの気象情報の収集から天気原稿作成までを担っている。しかし、気象原稿は専門性が高く、参照できる情報源も限られているため、担当者間で天気の判断基準のばらつきや、言い回しが異なり、結果としてオンエアの表現に一貫性を持たせることが難しいという課題があった。

 

「お天気原稿エージェント」を活用することで、これらの課題を解決し、放送の質や効率、柔軟性を向上させることが可能となる。利用者はボタンをクリックするだけで、AIが均一で質の高い、洗練された原稿を瞬時に生成。これにより、概況や週間予報、気温の前日差などの情報を原稿に簡単に盛り込めるようになり、視聴者へより充実した情報提供が可能になる。また、原稿の表現力が個人の力量に左右されず、均一な品質を保てるのも大きなメリット。

 

「お天気エージェント」の画面

 

さらに、本サービスは全国の市区町村を中心とした2000以上の予報地点に対応しており、必要な地域を選び原稿を作成できる。生成された原稿に対しても、チャット形式で「尺を短くしてほしい」「注意喚起を追加してほしい」といった追加の指示やアレンジを依頼でき、放送の状況に応じた柔軟な調整が可能だという。

 

ラジオ局における活用事例

 

千葉県八千代市のコミュニティFM『FMふくろう』では、本サービスを先行導入し、実際のオンエアで利用している。これまで天気原稿はパーソナリティが無料の一般サイトなどで限定的な地点の情報を参照し、天気や予想気温といった項目を手書きでフォーマットに埋めて作成していたが、天気概況や週間予報、予想気温の前日差や平年差など、より充実した気象データは盛り込めず、日替わりのパーソナリティによるオンエア表現のムラもあったという。

 

コミュニティFM『FMふくろう』での活用風景

 

同局の関係者は「お天気原稿エージェント」を導入した効果について「インストラクションのボタンをワンクリックするだけで原稿が瞬時に生成され、これまで情報不足で触れられなかった概況や週間予報、予想気温の前日差や平年差といった詳細な気象情報をオンエアで提供できるようになった。また、オンエアでの表現を均一化しリスナーに情報を届けている」とコメントしている。

 

ウェザーニューズは本サービスの提供により、天気原稿提供業務の省力化が見込める予定であるとし、「省力化によって生まれた時間をお客様サービスの機能改善や新機能開発、AI指示の高度化など、カスタマーサクセスの強化に活用してまいります」との見込みを発表している。