[JVCケンウッド]マルチアングル映像と生成 AI・音声通信を活用した監視・運用の実証実験、およびライブ配信を実施 

JVCケンウッドは10月4、5日、「味の素スタジアム」(東京都調布市)で開催されたランニングイベント「TOKYO ROKUTAI FES 2025」(主催:一般財団法人東京マラソン財団)において、マルチアングル配信サービス「yourLIVE」による撮影映像と、生成AIと無線機による監視ソリューションシステム「ULULA-i(ウルラアイ)」を連携し、大会運営における監視・運用の実証実験、および「yourLIVE」による同大会のライブ配信を実施した。

 

実証実験では、複数のカメラで撮影中のマルチアングル映像を「ULULA-i」が生成AIで解析し、①現場の混雑状況などのイベントを検知するとアラートを監視画面に通知すること②運営スタッフが現場の状況などを無線機で質問すると当該現場の状況をリアルタイムで的確に音声回答することに成功し、大会運営における現場の状況把握と監視効率の向上に寄与できたことを確認した。

 

また、「yourLIVE」により、複数のカメラで撮影したマルチアングル映像で参加ランナーの競技の様子をライブ配信。自分の走る姿が配信されることによるモチベーションの向上や高揚感を多くのランナーに提供し、参加者および視聴者に新しいイベントの楽しみ方を届けた。

 

1.実証実験の概要

 

(1)複数映像の撮影(機材とロケーション)

 

・撮影機材:ビデオカメラ、スマートフォン
・撮影現場:「味の素スタジアム」の場内および周辺エリアの9カ所(トラック、競技コース、入場ゲート、観戦スタンド、イベントエリア(キッズパークなど)、飲食店エリアなど)

 

(2)使用したシステム

 

・マルチアングル配信サービス「yourLIVE」
複数のカメラで様々なアングルから撮影した映像を同時に再生・配信し、マルチアングル映像のライブ配信を実現するサービス。今回の実証実験では、大会運営の監視映像に活用した。

 

監視ソリューションシステム「ULULA-i」は、生成AIと無線通信・音声解析・映像解析の技術を「音」でつなぐ、JVCケンウッドが現在開発中のシステム。無線機やカメラの情報を統合し、現場の音声・映像・データを一元管理、生成AIを活用することで、遠隔地の状況を音声で把握できる環境を提供する。今回の実証実験では、生成AIによる映像解析を活用した現場状況の把握、混雑などの異常状態の検知・通知、さらに生成AIによる音声での回答を実施した。

 

 

(3)実証内容と結果

 

■実証実験1

 

・内容:撮影中のマルチアングル映像をポーリング(監視システムがネットワーク機器やサーバーに定期的にアクセスし、稼働状況や通信状態などの情報を取得する仕組み)し、生成AIが一定以上の混雑のほか、異常状態などのイベントを検知すると、運営の監視画面への表示でアラートを通知(例:行列の発生、混雑エリアなど)
・結果:混雑や異常状態などのイベントを検知時にアラート通知することに成功した。

 

■実証実験2

 

・内容:撮影中のマルチアングル映像に関して、運営スタッフが不定期に無線機を通じて口頭で質問した内容について、生成AIが映像を解析し、リアルタイムで的確に音声回答(例:混雑状況の確認など)
・結果:音声によりリアルタイムで的確に回答することに成功した。

 

 

以上、2つの実証実験から、マルチアングル映像と生成AI・無線機の連携により、運営スタッフの目が届きにくい遠隔地の現場の状況把握と監視効率の向上が可能であることを実証した。本実証により、同大会の運営における業務効率化について、有効性を確認した。

 

(4)今後の展開

 

JVCケンウッドは今回の実証結果を踏まえ「スタジアム運営やイベント会場、大型施設などにおける業務のスマート化や業務効率化の推進に貢献するべく、さらなる開発を進める予定です。また、インフラや公共施設への展開も見据え、現場の課題解決に役立つ様々なデータへの対応を視野に入れて、取り組みを進めていきます」とコメントしている。

 

2.マルチアングル配信サービス「yourLIVE」によるライブ配信

 

 

(1)ライブ配信の概要

 

マルチアングル配信サービス「yourLIVE」により、参加ランナーの走りのほか、各イベントの様子や大会の情報なども含め、1つの視聴画面で9つのエリアの映像を同時に配信した。複数のカメラで撮影した参加ランナーのレース状況などがマルチアングル配信され視聴者は家族・友人のレースの様子をはじめ、関心を持った画面やアングルを自分で選んで視聴することが可能となった。

 

(2)今後の「yourLIVE」の展開について

 

「yourLIVE」は、特別なカメラ機材や配信に関する専門的な経験や知識を必要とせずに、マルチアングル映像によるライブ配信を実現する。特に大人数の大会やイベントでは、多くの参加者を映像で配信できるため、参加者にとっては自身の活躍が配信されるという新たな魅力につながり、視聴者にとっては見たいシーンを自分で選択して視聴する視聴体験を提供する。

 

スポーツや音楽ライブをはじめ、地域のお祭り、サッカーの試合、やダンスなどの発表会といった身近なイベントでも活用が進んでいる。今後は、学校教育や監視など幅広い用途に向けて、新しい配信プラットフォームとして提案していく。