IIJグループ、「サーキット向けローカル5Gソリューション」を提供開始
インターネットイニシアティブ(IIJ)およびIIJエンジニアリング(IIJ-EG)は、サーキットを高速走行するレーシングカーのオンボード映像やマシン情報などの伝送にあたり、ローカル5Gネットワークを活用して安定した通信を可能にする「サーキット向けローカル5Gソリューション」を開発し、本日よりIIJ-EGが提供を開始します。
本ソリューションは、2025年9月にハイテクインター、M-TEC、日本サーキット、日本レースプロモーション(JRP)の協力のもと富士スピードウェイで実施した実証実験において、時速290kmで走行するフォーミュラカー(開発車両)から、オンボード映像(車載カメラ映像)およびテレメトリー情報(マシン情報)が、ローカル5Gネットワークを活用して低遅延・高品質に伝送されたことを踏まえて開発したもの。
サーキット特有の通信課題を解決するネットワークを、コストを抑えて導入できるサービスとして、モータースポーツ業界向けに提供する。
サーキットの多くは居住人口の少ない郊外に位置し、レース開催時には数万人規模の観客が訪れるため、特定のモバイルキャリア基地局にアクセスが集中し、一時的にネットワークの輻輳が発生することがある。さらに、広大な敷地内にはモバイルキャリアの電波が届きにくいエリアも存在し、レース開催中にレーシングカーとの安定した通信を確保するには、モバイルキャリアに依存しない独自ネットワークの構築が不可欠です。
IIJグループは、サーキットの独自ネットワークの有効な選択肢としてローカル5Gに注目し、2022年より各社と連携して実証実験を重ね、導入コストの低廉化や最適な電波エリア設計、レーシングカー特有の過酷な環境に耐える伝送端末の開発などを進めてきた。そして2025年9月の富士スピードウェイでの検証において、高速走行中の車両との安定通信の実現やローカル5Gネットワーク構築における知見の確立などの成果が得られたことを受け、今回、サーキット向けローカル5Gソリューションを提供開始することにしたという。
▽ソリューションの概要
・サーキットごとのコースや地形に応じた最適な電波エリア設計
・ローカル5G利用に必要な免許取得の支援、代行
・ローカル5G基地局やアンテナ等の設置工事および伝送システム構築
・レーシングカー側の通信端末の提供、同端末までの伝送経路の疎通監視
・Wi-Fi等、補完的な通信技術の提案・導入支援
▽ソリューションの特徴
・導入コストの削減
IIJグループがこれまで複数のサーキットで実施してきた実証実験の知見を活かし、無駄のないエリア設計を行うことで、初期投資を抑えた導入が可能。機材のレンタル提供も可能で、伝送システムの整備にかかる導入負担をさらに軽減することができます。
(参考価格)レース1回あたりの導入費用は、約500万円からの見込み。
・レーシングカー特有の環境に対応
レーシングカーは、高振動・高温といった過酷な環境下で長時間走行するため、通信機器にも高度な耐久性と安定性が求められる。本ソリューションでは、これらの要件に対応した小型専用端末を提供する。また、オンボードカメラの映像やテレメトリー情報をサーキット内外にリアルタイムで配信するシステムもオプションで提供可能であり、観客への映像提供や運営側のモニタリング用途にも活用できる。
▽実証の様子
※開発テスト車両 通称「赤寅」走行中の様子(運転席すぐ前にアンテナとカメラを設置)

※開発テスト車両 通称「白寅」に搭載された「ローカル5Gのアンテナ」

※開発テスト車両 通称「白寅」に搭載された「伝送端末」

この記事を書いた記者
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営業部所属
主に企画、広告営業、WEBを担当。
40代から始めたゴルフが、今は一番の趣味。
千葉・栃木方面のコースがお気に入り。



