災害報道にドローンポート活用 テレ朝とKDDI、実証実験を開始

テレビ朝日とKDDIスマートドローンはこのほど、現地に常設したドローンポートから遠隔操作でドローンを飛ばし、災害現場を空撮する実証実験を開始したと発表した。2025年10月に石川県能登地域へ設置した拠点を皮切りに、将来的には全国1,000カ所への配備を見据えた広域的な災害報道ネットワークの構築を目指す。

(写真:Skydio Dock for X10)

 

近年激甚化する自然災害において、報道機関には正確かつ迅速な情報伝達が求められている。しかし、従来のドローン取材は操縦者を現地に派遣する必要があり、到着までのタイムラグや、取材クルーが二次災害に巻き込まれるリスクが課題となっていた。

 

今回の取り組みでは、現地に設置されたドローンポート「Skydio Dock for X10」を活用する。発災直後に遠隔操作でドローンを自動離陸させることで、初動の空白時間を埋め、安全かつ迅速に被災状況を視聴者へ届ける新たな報道体制の構築を図る。

 

緊急報道との連携確認の様子

 

■実証実験では、以下の3点を中心に検証を行う。

 

映像品質の確認:遠隔操作で撮影されたFPV映像(一人称視点映像)が、災害報道に耐えうる画質や遅延レベルであるかを実証する。
報道連携フローの構築:発災時、テレビ朝日の要請に基づき、ドローンが即座に離陸して映像を報道フロアへ伝送する一連のワークフローを策定・検証する。
運航管理の検証:災害現場で混在する報道ヘリコプターとドローンが安全に共存できるよう、KDDIスマートドローンの運航管理システムを用いて有人機と無人機が安全に共存するためのシステム検証を行う。

 

テレビ朝日はドローン活用の要件整理や映像品質の検証を担い、KDDIスマートドローンは機体の設置・運用および技術検証を担当する。両社は今後、石川県能登半島全域から順次配備を進め、全国的な社会基盤としての活用を目指す方針だ。