アイコム 無線機を無償貸与 中学生が学ぶ実践的防災訓練で活用

無線通信機器大手のアイコム(大阪市平野区、中岡洋詞社長)はこのほど、全国の中学校を対象に、トランシーバーを使用した「防災訓練の教育プログラム」を開発したと発表した。本プログラムは大規模災害を想定し、生徒がロールプレイング形式で無線機の操作方法や混乱下での有効な伝達手段を学ぶ内容となっている。アイコムは1月16日から、無線機20台を含む教材一式の無償貸与の受け付けを自社ホームページ上で開始する。

 

 

昨今、大規模災害が相次ぐ中で、避難所などでの安否確認や運営本部との連絡手段として無線機の重要性が高まっている。スマートフォンとは異なり、無線機は10人、100人と一度に大勢へ声を届けることができるため、迅速な情報共有に最適な通信手段とされる。特に、避難所でトランシーバーを使うケースは多く、住民同士の安否確認や運営本部との連絡手段として活躍する。トランシーバーの操作方法や、「大事なことは二度繰り返して伝える」といった有効な使い方を知っておくことは、混乱下で人命を救う手段になる。今回開発されたプログラムは、解説動画の視聴(9分)、ミッションに挑む訓練(20~30分)、事後レビュー(5分)の3部構成で、学校の授業1コマ(50分)で完結するよう設計されている。

 


貸与するトランシーバー「IC-DRC1MK2」

 

具体的な訓練では、生徒が「避難者発見」「食料確保」「情報収集」「作戦本部」など4つのチームに分かれ、校内に散らばる避難者の把握や食料確保といったミッションに挑む。生徒たちは、チームごとに配布されたトランシーバーを用い、「1階で避難者5人を発見」といった情報をリアルタイムで共有する。その際、「大事なことは二度繰り返す」といった、人命救助に有効な無線特有のコミュニケーション方法を実践的に学ぶ。終了後は、参加者全員でレビューを行う。「もし無線機がなかったどうなっていたか?」「無線機のどんな特徴が役に立ったか?」など、教員が質問を投げかけ、生徒がその問いを考えるに振り返りの場を与えることで学習内容の定着を図る。

 

 

企業の強みを生かした教育支援は近年広がりを見せており、金融や音楽などの分野でも専門性を生かした教材提供が行われている。アイコムは2026年3月に私立桃山学院中学校(大阪市阿倍野区)でデモ授業を実施し、これを皮切りに全国の学校へ教材を貸し出していく方針だ。阪神・淡路大震災の発生日(1月17日)を前に、次世代を担う中学生の防災意識向上を目指す。