カシオ計算機、「経済安全保障重要技術育成プログラム」の研究開発構想に参画

複数の水中ロボットを個体識別できるカメラ可視光通信を開発

カシオは、トリマティスと千歳科学技術大学とともに、内閣府が主導する「経済安全保障重要技術育成プログラム(以下、K Program)」の研究開発構想に参画し、昨年12月より海中無線通信技術の共同開発を開始したと発表があった。同構想で、カシオは水中ロボットの個体を識別できるカメラ可視光通信の開発を担う。

「K Program」は、国際情勢の変化に関わらず日本の経済的自立を支え、日本が国際社会で中長期的に確固たる地位を確保するために不可欠な先端技術の研究開発およびその活用を推進するプログラム。研究開発の領域としては、宇宙・航空、サイバー空間・バイオ、海洋に関する技術テーマがある。

今回の共同開発では、大型船舶の船底点検や海底ケーブルをはじめとする海中インフラの維持管理など、海中作業の飛躍的な無人化・効率化を可能とする海中無線通信技術の確立を目指す。具体的には、自在に動く水中ロボット同士や基地となる水中ステーションが作業に必要な通信を行うための技術となる。高速かつ大容量のデータ送信と情報セキュリティーの確保を可能とするレーザー通信、複数同時に通信するマルチアクセス通信、およびそれらを実現する制御技術の開発に取り組む。

この中でカシオは、独自の変復調アルゴリズムを用いてLEDの点滅や光の強弱をID情報に変換するカメラ可視光通信を使い、複数のロボットやステーションの個体を識別することで、海中でそれぞれの位置関係を把握できる技術を追求する。

カシオは、今回の共同開発を通じて、国内の科学技術を結集させ日本の自立した経済的発展に貢献していくとしている。

■カメラ可視光通信
イメージセンサー通信あるいはOCC(光カメラ通信)とも言われる技術で、カシオは独自の変復調アルゴリズムを使い、LEDの点滅や光の強弱をカメラで捉えてID情報に変換している。この技術を用いた高精度位置測位システム「picalico(ピカリコ)」では、LEDの発光色(赤・緑・青)を24回または12回切り替えたパターンを、エリア内の座標で定位置を示すID情報として識別。活用事例として、工場の自動搬送機やフォークリフトなど作業動線の分析に使われているほか、JAXAとの共同研究では月面探査車の位置を推定する方法として実用化の検証を進めている。
今回取り組む海中においてはLEDを定位置に固定することが難しい課題があり、そのため、自在に動く複数の水中ロボットにカメラとLEDを搭載し、それぞれのID情報を識別することでお互いの位置関係を把握することを目指す。