医療向けVRコンテンツを共同開発 VRによる高い学習効果や手術を俯瞰できるメリットも ジョリーグッド、ジョンソン・エンド・ジョンソン

 ジョリーグッド(東京都中央区、上路健介CEO)と医療メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンは11月5日に都内で記者会見を開催し、ジョリーグッドのVRソリューション「Guru Job VR」を利用した医療研修VRを共同開発したと発表した。 共同開発したコンテンツは、不整脈の診断および治療を支援する機器「CARTO3」を用いて行う「カテーテルアブレーション治療」の名医による手術シーンを、複数台数の360度カメラで撮影したもの。 同コンテンツでは、実際の手術の光景を体験できるほか、一方向のみではなく複数視点からの手術見学も可能。また、場面ごとに名医の解説も挿入され、各測定機器のモニター画面が空間上にリアルタイムで表示されるなど、「通常の手術見学は不可能だったことが、このコンテンツでは可能となります。我々は単なる空間の再現ではなく、プラスアルファの情報を与えることをVRコンテンツで表現することが重要と考えていますが、今回は理想的な形で再現できたと思います」とジョリーグッド代表取締役CEOの上路健介氏は語っている。 実際の手術見学ではスペースに限りがあるため限られた人数しか見学を行えず、衛生面の観点から医師の近くでの見学が困難で、遠隔地での手術の場合は見学にいくことができないなどの課題も多くあったが、同コンテンツはOculusのような一体型のHMDで体験可能なため、都合のいいタイミングに省スペースで行えるほか、衛生管理したカメラを医師の側に設置することで手術を間近で見ることができるというメリットがある。 教育向け研修コンテンツではビデオ形式のものが一般的だが、今回VRコンテンツを採用した理由について質問されると、記者会見に登壇したジョンソン・エンド・ジョンソン メディカルカンパニーのバイオセンス ウェブスター事業部バイスプレジデントの岩井智光氏は「VRにより自身が手術現場にいるような没入感をもたらすことでより高い学習効果が得られるほか、開腹する外科手術と違って今回のカテーテルアグレーション治療の場合は、X線の画像や3Dマッピングシステムの画面、高周波出力、患者のバイタル状態など、医師は手術室全体を確認しなければならず、この全体像を確認するのに、手技全体の様子を把握するのにVRが最適でした」と説明する。 今後は、整形外科向けのコンテンツ制作や、手術中のシーンをVRコンテンツとしてリアルタイムに配信することも視野に入れているという。