長大とSkyDrive、空飛ぶクルマのプレオーダーを合意

 長大(東京都中央区、野本昌弘代表取締役社長)とSkyDrive(愛知県豊田市、福澤知浩代表取締役CEO)は、SkyDriveが開発する空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」1機において、機体の購入予約に関する覚書を締結(プレオーダー)した。5月26日に長大本社経営センター(東京都中央区)で、両社関係者が出席して調印式を行った。

 長大は橋梁・道路・交通・港湾河川・都市計画・ITS・情報システム・環境・PPP/PFIなどのインフラ分野での経験を活かし、2020年頃から空飛ぶクルマプロジェクトに取り組んでいる。これまで、社会実装に向けて複数の自治体や企業と連携し、空飛ぶクルマに関する導入可能性調査・検討、実証飛行を行ってきたが、既存のインフラ分野と航空分野を融合させた、より便利な社会の創造を目指し、空飛ぶクルマの機体を保有することとしたもの。一方、SkyDriveは空飛ぶクルマの機体メーカーとして国内での早期運航の実現に取り組んでいる。両社の空飛ぶクルマの社会実装に向けた思いと方向性が一致したことから、今回のプレオーダーに至ったもの。

 長大は、空飛ぶクルマの実用化を見据えて、これまでのインフラ整備の経験を活かしたコンサルティング業務の拡大だけでなく、空飛ぶクルマの可能性を広げる運営事業への展開を目指す。また、SkyDriveは、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、空飛ぶクルマの開発をしている。大阪・関西万博では、4月に公開フライトを行い、夏頃にも2地点間または周回での飛行を予定している。
 両社は2022年6月より協業を開始し、長大のインフラ分野での経験とSkyDriveが有する機体や運航に関する知見を活かしながら、離着陸場整備に向けた検討を共同で推進している。また、2025年度には、大阪市高速電気軌道株式会社、長大、SkyDriveの3社でポスト万博を見据え、大阪市の森之宮エリアで空飛ぶクルマの社会実装に向けた環境調査等を開始しており、協力をしながら安全な運航および騒音に配慮した離着陸場整備の実現に取り組んでいる。
 今回プレオーダーした機体は、こうした連携先での事業展開に活用していく予定で、観光促進、都市間・地域間の移動、さらには物資搬送など、多様なニーズに対応できるユースケースを検討している。今回のプレオーダー合意により、機体導入とともに離着陸場の整備を含めた社会実装の準備がさらに加速され、自治体や地域企業と連携しながら、地域課題の解決や新たなモビリティの創出に貢献していくことが期待されるとしている。
(略)
長大は、「第10回 Japan Drone 2025」「第4回次世代エアモビリティEXPO 2025」に出展する。また、空飛ぶクルマのセミナーを行う。
 同社は2022年3月に「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画。「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けて、建設コンサルタントとして培ってきた技術力を活かし、導入可能性調査や社会受容性の向上に取り組んでいる。 
 展示会では、同社がこれまで取り組んできた空飛ぶクルマ事業に関する研究成果や実績を、パネルや模型等を用いて紹介する。

 また、4日(水)は、同社事業戦略推進統轄部 新事業イノベーション推進部の仙波 寛正氏がセミナーに登壇、空飛ぶクルマの事業性検証に不可欠な「収益予測」について、同社が開発を進める運航シミュレーション技術を活用した検証手法を紹介する。6日(金)は同じく新事業イノベーション推進部の篠原貴政氏が2024年度に今治市で行った「空飛ぶクルマ」の運航実現に向けた取り組みについて愛媛県今治市地域振興部しまなみ振興局局長の馬越啓之氏と対談する。内容は2024年度に今治市で行った「空飛ぶクルマ」の運航実現に向けた取り組みについて、セッション形式で紹介する。いずれも詳細は同社ホームページで確認。要事前予約。
 ブース・BH―26

写真は (左から)福澤知浩SkyDrive代表取締役CEO 、野本昌弘・長大代表取締役社長

6月4日付け5面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。