ICT総研、2025年6月 混雑時間帯の山手線5G通信速度実測調査を発表

株式会社 ICT総研 (東京都中央区)は6月25日、混雑時間帯の山手線5G通信速度実測調査の結果をまとめた。6月18日に公表した「2025年6月 山手線5G通信速度実測調査」は閑散時間帯に測定した結果であるが、今回は平日の混雑時間帯(ラッシュ時間帯)に限定して同様の調査を実施。国内のMNO (Mobile Network Operator) であるNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社の混雑状況下での通信速度の実態を把握することを目的とした。

 測定端末は、Google Pixel 7a。速度測定サイト「インターネット速度テスト」(Google)にて、1地点あたり下り(ダウンロード)と上り(アップロード)の速度を3回ずつ測定した。測定地点は、東京都内のJR山手線 全30駅のホーム。優先ネットワーク設定は「5G優先」に設定した。調査日は2025年6月16日~19日。平日の朝夕の混雑時間帯(7:00~9:00、17:00~20:00)に調査した。人の流れの障害にならない場所で測定するよう配慮。

■ 全30地点の下り通信速度は、auが177.4Mbpsでトップ。NTTドコモが 続く。

調査の結果、山手線の「駅ホーム」全30地点における混雑時間帯の下り通信速度は、auが平均177.4Mbpsでトップ。NTTドコモが174.5Mbpsで僅差の次点、ソフトバンクが156.7Mbpsで続いた。楽天モバイルは18.5Mbpsと苦戦している。NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社は、トラフィックが集中する混雑時間帯においても、平均値で見れば十分な下り通信速度を記録できていることが分かる。
 一方で、全30地点の上り通信速度は、ソフトバンクが平均55.2Mbpsでトップ。auが40.7Mbps、NTTドコモが26.8Mbps、楽天モバイルが16.6Mbpsで続いた。下り通信速度と比べると、上り通信速度は絶対値も小さいが、事業者ごとの速度差も小さい。



■ 混雑時間帯の下り通信速度は閑散時間帯の63.8%。

今回の混雑時間帯の調査(2025年6月16日~19日)を、閑散時間帯の調査結果(2025年6月10日~11日)と比較した。その結果、全30地点の下り通信速度(4社平均)は、閑散時間帯 206.5Mbps、混雑時間帯 131.8Mbpsであり、混雑時間帯の下り通信速度は閑散時間帯の63.8%に留まった。事業者によって多少の違いはあるが、閑散時間帯に比べて混雑時間帯の通信速度が遅い傾向はどの事業者も同様である。



■ 全30地点の5G受信地点比率は、4社平均で79.2%。

全30地点の5G受信地点比率は、4社平均で79.2%。閑散時間帯の調査では4社平均94.2%であり、混雑時間帯の方が劣る結果となった。ソフトバンクは閑散時間帯と同様に100.0%、NTTドコモは96.7%(閑散時間帯は98.3%)と5G受信地点比率はほぼ変わらないが、auは閑散時間帯100.0%に対して混雑時間帯73.3%、楽天モバイルも閑散時間帯78.3%に対して混雑時間帯46.7%と、混雑時間帯の結果の方が悪い。



■ 下り速度の最速地点は原宿駅(393.2Mbps)、最遅地点は品川駅。
 今回調査における下り通信速度の最速地点は原宿駅ホームであり、4社平均下り速度は393.2Mbpsであった。原宿駅と巣鴨駅(339.0Mbps)の2駅が、4社平均で300Mbpsを超えた。一方で、4社平均の下り速度が最も遅かったのは、品川駅であり、14.8Mbpsに留まった。
 ICT総研では今後も、「つながりやすさ」や「通信速度」について、ユーザーが利用するさまざまなシーンを想定し、ユーザーにとって指標となる実測データを定期的に提供していく方針としています。