夏場のデジタルモバイル使用に要注意!MCPCがHPで注意喚起

 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)は、スマートフォンやモバイルバッテリー、携帯扇風機などのモバイルデバイスにおける夏の安全啓発ホームページを公開している。
 スマートフォン、モバイルバッテリー、ポータブル電源、携帯扇風機などモバイルデバイスは携帯可能な精密機械であり、外気温が上昇する夏には注意すべき点がある。ホームページでは夏に気をつけるべき注意ポイントをまとめている。

 モバイルデバイス全般で共通して注意すべきポイントとして、特に高温環境下での利用と放置を避けるよう呼び掛けている。
 夏は外気温が上がり、利用機器の使用環境温度(スマートフォンであれば5~35℃が一般的)以上の高温環境となる場所が増える。モバイルデバイスにはリチウムイオン電池が利用されており、リチウムイオンバッテリーは熱の影響を受けやすい特性を持っているため、故障・電池膨張や発火の恐れがあるほか、電池が劣化する可能性がある。
 特に車のダッシュボードは80℃を超える高温となる場合があり、冷房をかけていてもダッシュボードの環境は高温となりやすい(エアコン23℃設定で30分でも60℃超え)ため避ける必要があり、同じく炎天下や直射日光の当たる場合には短時間でも放置しないよう注意を呼び掛けている。
 ホームページでは、KDDIの協力でダッシュボード上にスマートフォンを設置してカーナビ利用している状態を想定し、85℃の 温度環境でバッテリー容量の低下を検証した結果を報告している。
 検証結果によると、ダッシュボード上はエアコン23度設定で66度を超えた。この環境下で24時間利用したところ、バッテリー容量が7%減少、1㍉の膨張を確認した。さらに利用を続けて、48時間利用したところ、15%の減少、2㍉程度の膨張を確認したという。
 MCPCでは、「今回の検証では容量の劣化と一時的な膨張が見られましたが、温度や期間、バッテリーの状況によっては、『バッテリーの更なる膨張とそれに伴うスマホの破損』『バッテリーの発火』の可能性もありますので、くれぐれも〝車に置きっぱなし〟はおやめください」と呼び掛けている。
 関連して、リチウムイオン電池に詳しい信州大学の是津信行教授のコメント紹介している。概要は次の通り。

 「モバイルデバイス製品で特に注意すべきなのは、搭載されているリチウムイオン電池の特性です。リチウムイオン電池は、内部で化学反応によりエネルギーを蓄えています。高温になるとその反応が加速し、電解液の分解や電極表面に形成する被膜の破壊が進行します。これにより、バッテリーの内部抵抗は上昇し、エネルギー効率が低下するとともに、繰り返し使用による「容量劣化」の速度が早まります。さらに、温度が極端に上昇した場合には、セル内部のショート(内部短絡)や「熱暴走」と呼ばれる連鎖的発熱反応が起こります。最悪の場合は発火や発煙に至る危険性もあります。車内温度は60度を超える場合があり、電池の安全温度限界(通常は45度程度)を大きく上回ります。


夏を安全に乗り切るためには、以下の点に注意してください:
①直射日光の下や車内(特に夏場のダッシュボードなど)に放置しないこと。
②充電中は発熱を伴うため,風通しの良い場所で行い、スマートフォンなど可能であればケースを外すなど放熱対策を意識してください」。

 また、夏は上着の着用機会が減ることでモバイルデバイスを収納する場所が少なくなり、直持ちするケースも想定されることから落下の危険性についても指摘。水のある場所へ行く機会も増えたり、バッグの中に飲み物を一緒に持ち歩いたりするケースも想定されることから水濡れによる故障への注意も呼び掛けている。
 このほか、機種別の注意ポイントは次の通り。

 【スマートフォンで注意したいポイント】
  夏は外気温が上がり、機器内部の熱を逃がすことができなくなり、スマートフォンも熱くなり易く 冷めにくくなる。高温環境下では放熱性能が低下し本体温度が通常よりも高温になったり、 発熱を抑えるために一部機能の動作が制限される場合があることから、炎天下や直射日光の当たる場所などでの使用には注意。ホームページ上では通信事業者ごとに、「スマホ熱中症」をタイトルとした夏の注意ポイントを呼び掛けている。

 【モバイルバッテリー/ポータブル電源で注意したいポイント】
ポータブル電源やモバイルバッテリーは、保管場所に注意する必要がある。 キャンプやDIYなどの屋外作業等での利用も想定されるが、夏場の車内や真夏の炎天下などは短時間で高温になることもあり、リチウムイオン電池がダメージを受けやすい環境となる。故障・電池膨張・発火の恐れ、電池寿命の短縮の原因となることがあるため注意する必要がある。

 【携帯扇風機など季節商品で注意したいポイント】
 携帯扇風機にもリチウムイオン電池が使用されていることから、高温環境下での使用や落下や水濡れについて注意が必要。そのほか意外と知らない注意ポイントとして、「炎天下や直射日光のもとでの使用を避ける」「雨水、海水、飲み物などの水分がつかないようにする」「地面へ落としたり他の荷物で圧迫したりしない」「濡れタオルや冷感グッズを併用する」「ドライアイを防ぐために、目に直接風をあてない」「首に風を当てるときは髪が巻き込まれないようにする」「人の多い場所(満員電車など)では使用しない」―。

 電波タイムス社の取材に対し、MCPC技術委員会モバイル充電WGの担当者は、「夏場の安全啓発活動の一環として、MCPCは会員企業である通信事業者やモバイルバッテリー取扱ベンダーの皆様と連携し、各社のオウンメディアを通じて同時に情報発信を行っています。少しでも多くの方々にこのメッセージが届き、安全意識の向上に繋がれば幸いです。」と話していた。
 ホームページはこちら:https://mcpc-jp.org/LiBat_2025Sum/

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。