第2期OSシェアはGoogleが首位維持、MM総研が小中GIGAスクール第2期におけるICT整備動向調査公表

 ICT市場調査コンサルティングのMM総研(MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、文部科学省の「GIGAスクール構想」で配備された1人1台端末の更新(GIGA第2期)について、市区町村の方針を調査した結果をまとめて公表した。
 調査は2025年6月から7月にかけて実施し、採用予定OS(基本ソフト)と採用理由、調達時期や台数などを電話による聞き取り、一部e―mailやFAXによる調査票の送付・回収を併用して尋ねた。全国にある1741カ所すべての市区町村へ電話調査を実施し、うち1249カ所の市区町村から回答を得た(一部回答を含む)。

 ◆OSシェアはGoogleが60%で1位を維持、前回から18ポイント増
 GIGA第2期ではOSシェアに大きな変化が見られた。端末のOS及び台数に回答した1174団体の621万台をベースに分析すると、GoogleのChromeOSはシェア60%(第1期から18ポイント増)と大きく伸ばし、過半数を超える結果となった。中小規模の自治体から、政令市や中核市など大規模自治体まで幅広く採用された。次いでAppleのiPadOSが31%(同2ポイント増)と第1期は僅差で3位だったところから2位に浮上。一方、MicrosoftのWindowsは10%(同19ポイント減)とシェアを大きく落とした。全体でみるとGoogleが大きくシェアを伸ばし、Microsoftは大きく減らす格好となった。また、回答者の所感として第1期の端末の評価点と理由について聞くと、Windowsは「OSアップデートなど、運用しにくい」「動作が遅い」などの理由から最も低い点数となった。

 ◆OSを切り替える自治体は28%、主な理由は「周辺自治体が利用」「運用しやすい」
 GIGA第2期で、第1期から継続して同じOSを利用する自治体が67%と多数派であり、OSを切り替えた自治体は全体の28%であった。 第1期での採用OS別にみると、ChromeOSは9割以上、iPadOSは約8割の自治体が継続利用している。他方、複数OS採用やWindowsの自治体では6割以上の自治体がOSを切り替えている。「切り替え」は第1期と第2期の採用OSが完全一致しない場合を指す。第1期で複数OS採用、第2期は特定OSに統一する事も切り替えとした。
 GIGA 第2期でのOSの選定理由を聞くと、同じOSを利用する自治体は「現在利用しているOSのため」が94%で大多数を占め、次いで「運用しやすい」が31%となった。これまで利用してきたOSに慣れており、継続したいという声が大きい。OSを切り替える自治体では、「周辺自治体が多く利用している」が38%と最も多く、「運用しやすい」が33%、「現場の教員からの意見・アンケート結果で選ばれた」が23%と続いた。切り替えにあたっては、整備運用側の意見だけでなく、現場の意見や周辺自治体の状況などが反映されているものとみられる。

 ◆端末単価は平均5・5万円、自治体・OSごとに差がみられる
 MM総研が2024年8月に実施した調査では、GIGA第2期で共同調達するうえでの一番の課題は「端末価格の高騰」であった。今回の調査でGIGA第2期での端末単価を聞き取ると、全体平均は5・5万円となった。細かくみると自治体ごとにかなりばらつきはあるものの、全体では政府補助の5・5万円前後の価格帯となった。OS別にみると、ChromeOSは平均5・4万円、Windowsが5・5万円、iPadOSが5・7万円となった。iPadOSは他のOSと比べ若干高く、また購入する自治体によってブレ幅が大きかった。

 ◆GIGA第2期の端末は2025年度に72%、2026年度に22%が調達される
 各市区町村が想定する調達予定時期ごとに台数を集計すると、2025年度に更新が集中することが分かった。調達台数と時期の双方に回答を得た1227市区町村の661万台を対象に分析すると、2025年度は調達台数の72%(661万台のうち475万台)、2026年度は22%(同144万台)となることが分かった。政府は調達の平準化をアナウンスしているが、現行の端末が古くなってきていることなど、自治体ごとの事情があり、調達時期の後ろ倒しは難しいものとみられる。
 電波タイムス社の取材に対し、担当者は「運用のし易さ等でインフラはグーグルが一勝した形となった。次はクラウドAIでの勝負となる」と話していた。

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。