
スカパーJSAT 「衛星量子暗号通信技術の開発と実証」に衛星管制システムの設計検討等の担当で参画
スカパーJSAT(東京都港区、米倉英一社長)はこのほど、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業「衛星量子暗号通信技術の開発・実証」に、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とともに参画すると発表した。スカパーJSATは、本関連業務のうち、衛星管制システムの設計検討および打ち上げ候補機の検討などを担当する。
(写真㊤は衛星量子鍵配送のイメージ)
近年の量子コンピュータ技術の発展により、通常のインターネット通信においては厳格に秘匿すべき機密情報が将来、解読されるリスクが高まっている。機密情報を安心・安全に取り交わすためには、今後いかなるコンピュータ技術が開発されても解読が不可能な量子暗号通信技術を活用し、広域にわたる量子鍵配送・量子暗号ネットワークを構築し、堅牢性の高いセキュアなサイバー空間を実現することが求められる。
この量子鍵配送に、宇宙空間にある衛星を介在させることで、光ファイバーと比較して長距離・移動体に対して鍵配送することが可能となり、高い安全性・耐災害性を取得することが期待できるという。
研究代表機関として採択されたNICTは「衛星量子暗号通信技術の開発・実証における情報理論的に安全な鍵共有を可能とする小型・低軌道衛星の研究開発」に取り組む予定。
スカパーJSATは、今回の選定を受け、35年以上にわたる静止軌道衛星の管制業務によって蓄積した衛星運用ノウハウや衛星量子鍵配送実現に向けた過去の研究開発案件などへ参画してきた経験を活かし、NICTと連携しながら本研究開発を推進するとともに、事業化の検討を進める。
今後の宇宙産業の中で特に利用拡大が見込まれるデータ通信分野では、さらなるセキュリティレベルの向上が求められている。スカパーJSATは今回の参画について「本研究開発への参画を含め、人工衛星による量子暗号通信網の構築に引き続き積極的に取り組んでいきます。これにより場所や時間を問わず、機密情報を安心・安全にやり取りすることのできる社会の実現に貢献してまいります」とコメントしている。
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオ番組の紹介、会見記事、オーディオ製品、アマチュア無線などを担当