
AI活用した新規事業企画を提案、首都圏国立大学合同ハッカソン発表会
ソフトバンクと首都圏内の国立大学共催により初開催した「首都圏国立大学合同ハッカソン」の最終発表会が9月20日(土)、東京都港区海岸一丁目のソフトバンク本社であり、参加した大学生24人が約1ヵ月間の取組の成果を発表した。「AI技術を活用して参加企業の新規事業を創造しよう」をテーマに24人が4チームに分かれて協賛企業のビジネスモデルに合わせた新規事業を提案した。
同ハッカソンは、首都圏内の国立大学に通う学生を対象に1ヵ月間でアイデア創出から新規事業のプロトタイプ作成までを完成させる企業参加型の実践イベントとして企画。企業側は急速に進化する技術環境とグローバルな競争の中で、持続的な成長とイノベーション追求のための多様な視点と想像力を持つ人材確保と育成、大学側は学生に対する実践的な学びの機会を提供し、産学連携を通じた社会貢献と、双方のニーズを結び付ける場としての開催が狙いとしている。
お茶の水女子大学、電気通信大学、東京海洋大学、東京外国語大学、東京農工大学、一橋大学の6大学を対象に参加を呼び掛け、集まった男女24人の学生が参加し、8月18日から9月20日まで約1ヵ月間の日程でソフトバンクが提供するAIツールなどを活用したワークショップ等に参加して開発を進めてきた。
また学生がアイデアを提案する企業側として、花王、CRI・ミドルウェア、東京スター銀行、ハートビーツの4社が参加。学生にアドバイスを与えるメンターとしても学生のチームに加わり、共に開発を見守ってきた。
発表会は、各チーム8分を持ち時間にプレゼン方式で取組の成果を発表。「課題解決」や「ビジネス&サービス」、「AIとデータの活用」、「プロトタイプ開発」、「プレゼンテーション」の5項目で審査し、合計点でチームの順位を決定した。
AIや新規事業に対する精通者として、電気通信大学副学長の南泰浩氏、東京海洋大学教授の中原尚知氏、東京外国語大学学長の春名展生氏、東京農工大学准教授の跡部悠未氏、ソフトバンク外部取締役兼電気通信大学副学長の坂本真樹氏、ソフトバンク統括部長の打越裕幸氏が審査員を務めた。
各チームからは、「推し活」向けの資産管理プランや、漫画を音声や映像で楽しむコンテンツ「ボイスコミック」の開発者向け支援ツール、人事担当者を対象とした人事評価や原価管理の支援サービスといった学生ならではのユニークなプランが発表された。
このうち総合順位で1位を獲得したチーム「しみぬきシンキング」は、花王とタッグを組み、「『なんとなく塗るUVケア』から『データに基づくスマートUVケア』へ」をコンセプトに、AIを活用して利用者に日焼け止めに関する提案を促す「UVミエルノ」を提案した。
日焼け止め製品を選択後、機械学習による屋内外判定を活用した専用アプリを通じて紫外線量を取得し、時間経過や水濡れ、塗り直し等の情報から日焼け止め効果を数値に示した「実効SPF値」を算出。数値に応じて塗り直しの提案や防げた紫外線総量の測定、今後の日焼け止め製品の使用に向けたアドバイスや励ましのメッセージなどを与えるもので、利用者の行動シーンに合わせた日焼け止め効果の可視化を目指した。
審査員の東京外国語大学の春名氏は、「ターゲットが絞り込まれていて課題も明確に定められていた。それに対する試算も明確で企画そのものの説得力を増していた。またプレゼンテーションも用意周到に考えられており、質疑応答に的確に応えていることで施説得力があった。最終的に評価するのは人間なのでプレゼンでどれだけ出せるかが重要。今回は既に利用している人の掘り下げだが、社会的意義の大きさであれば顧客を広げることはよりインパクトが大きい。そこに向けた挑戦という意味で意義が大きい」と評価した。
しみぬきシンキングのチームリーダーを務めた東京外国語大学言語文化学部の堀あかねさん(22)は、「課題解決や技術的な達成度、プレゼン力など色々な力を要求されるフルスペック型の前例のないハッカソンだった。最後までやり切るには色々なバックグラウンドを持った学生の協力が必要だった。貴重な機会をいただけた」と話していた。
主催者を代表してソフトバンク統括部長の打越氏は、「最初は不安や焦りが入り混じった状態でジレンマもあったかもしれないがすぐに積極的に意見交換して前に進む姿勢が見えた。我々も社内でAI使えと言われているが、ネイティブAI世代としてツールを使いこなす能力の高さを感じた。学生の皆さんにはプロセスとアウトプットの2つで大きな学びと気付きになっていればうれしい。メンターの方にも、日程以外でもミーティングなど真摯に向き合っていただき感謝している。それぞれの目的や狙いが一つでも達成できていればうれしい。ぜひ来年以降も続けていきながら企業や学生のネットワークが作れるといったところでも価値を作っていきたい」と話していた。
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