みちびき12月7日打上げ、GPS超えるサービス
NEC、内閣府、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、三菱電機の4者は、11月18日にNEC本社ビル(東京都港区)で、5号機の打ち上げを12月7日に予定している準天頂衛星システム「みちびき」について、メディア向け説明会を開催した。「みちびき」を活用したサービスや各者の役割に関する説明、展示を行った。
「準天頂衛星システム『みちびき』7機体制へ向けて」と題して、内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室室長の三上建治氏が説明した。
三上氏は「『みちびき』は、アジア・オセアニア地域に特化した衛星測位システムです。『みちびき』5号機の打ち上げは、12月7日12時に予定されています。そして2026年度にはいよいよ7機体制になります。これでGPSなしでも『みちびき』だけで測位が可能になります。将来、バックアップ強化のため、11機への拡張計画もあります」と話した。
さらに「GPSを超えるサービスを提供します。多くの分野で位置情報サービスが利活用できます。センチメートル級も可能なより高精度な測位が可能になります」と述べた。
次に「準天頂衛星システムの提供サービス『センチメータ級測位補強サービス(CLAS)』の概要」と題して、三菱電機宇宙総合システム部CLAS利便性向上サブプロジェクトマネージャーの早瀬夏子さんが説明した。
早瀬さんは「三菱電機は、『みちびき』衛星のバスシステムの他、センチメータ級測位補強サービスのサービスプロバイダも担当しています。センチメータ級測位補強サービス『CLAS』は、各衛星の誤差を補正するための情報を『みちびき』から配信し、ユーザ受信機でこれを利用することで高精度測位を実現します。従来と比べ、専用受信機がセッティングされていれば、無償で誰でも利用可能な点で特徴です。『みちびき』からの配信によりこれを実現します。この特徴により、社会実装を進めることが可能です。高精度な位置情報によって様々な分野で自動化・省力化を促進し、人手不足・高齢化などの社会課題を解決します」と話した。
次に「準天頂衛星システム『みちびき』への貢献」と題してNECスペースプロダクト統括部プロジェクトマネージャの西尾昌信氏が説明した。
西尾氏は「NECは、『みちびき』初号機から一貫して測位ミッションペイロード、並びに地上システムの開発を担当しています。また、PFI事業の代表企業として、サービス運用を含む全体システムも担当しています」と話した。
さらに「NECは『みちびき』のサービスに係る地上システムを開発しています。運用事業者としてユーザーにサービスを提供しています。測位関連では高仰角の衛星としてGPSを補完し精度を改善する『衛星測位サービス(PNT)」や、水平精度1m(95%)の測位を実現する『サブメータ級測位補強サービス』、電子署名認証技術を活用し、セキュアな測位を実現する『信号認証サービス(QZNMA)』を提供しています。さらにメッセージ関連では『災害・危機管理通報サービス(災危通報/DC-Report)』と『衛星安否確認サービス(Q-ANPI)』を提供しています。前者は、気象庁の防災気象情報(地震・津波情報等)、Jアラート(ミサイル発射情報等)、Lアラート(避難情報)を配信します。後者は、避難所の情報を収集し、防災機関に提供することで発災直後の救難等に利用します」と話した。
このほか「準天頂衛星システム『みちびき』事業におけるJAXAの取り組み」と題して、JAXA高精度測位システムプロジェクトチームプロジェクトマネージャの松本暁洋氏が説明した。
写真は みちびき5号機(準天頂衛星システム)模型
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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