アドバンスト・メディア  商談を記録・分析し、営業活動の効率化と成果向上を支援「AmiVoice SalesAgent」β版を26年1月にリリース

AI音声認識と生成AIで商談をリアルタイム支援、営業の属人化解消へ

 

アドバンスト・メディア(東京都豊島区、鈴木清幸社長)は11月20日、国内シェアナンバーワンのAI音声認識「AmiVoice」と生成AIを活用した商談支援ソリューション「AmiVoice SalesAgent(アミボイス・セールスエージェント)」のβ版を2026年1月下旬にリリースすると発表し、同社で発表会見を開いた。本ソリューションは営業活動の効率化と成果向上を支援し、営業組織の強化・改善を目的とした「AmiVoice SalesBoost」シリーズの新たなラインアップとして提供される。会見には、同社事業本部長の大柳伸也氏とSDX事業部DX推進グループの密山友規氏が登壇し、概要や特長を説明した。

 

大柳伸也氏

 

成長市場「セールスイネーブルメント」での課題解決を目指す

 

セールスイネーブルメント(営業組織の成果最大化を支援する取り組み)の市場は拡大傾向にあり、米Grand View Research社の発表によると日本国内市場は2024年の約252億円から2030年には約679億円に拡大し、年平均成長率は17.9%と予測されている。しかし、市場が急速に拡大する一方で営業活動は営業担当者のスキルや経験に大きく依存し、属人化しやすいという課題を抱えている。

 

大柳氏は営業現場の課題について「ベテランの営業職員やスキルの高い人は、勘や自分の感覚に応じて営業活動を進めていくことができるが、未熟な人はうまく営業活動を進められないという現状がある」と言及し、スタッフによって成果にばらつきがある点が営業現場の課題であると強調した。

 

「AmiVoice SalesAgent」は、テクノロジーの力でこれらの営業課題を解決し、商談の質を向上させ、営業の属人化を解消しながら、成果を出せる営業組織の確立を促進することを目指す。営業と顧客の会話をリアルタイムでテキスト化し、発話者と発言内容を紐づけて表示することで、議事録作成の手間を大幅に省くことが可能となる。特に生成AIを活用した機能がリアルタイムで営業担当者を多角的にサポートする。

 

AIと感情解析で商談をリアルタイム支援

 

「AmiVoice SalesAgent」の主な機能

 

①リアルタイム支援と抜け漏れ防止: GPTを活用し「予算」「決済権」などの重要事項の確認漏れをチェックしたり、商談中に発言されたキーワードに応じて関連資料を自動でポップアップ表示したりすることが可能。

 

②感情解析による対応力向上: 生成AIを感情解析にも利用し、顧客の感情の動き(ポジティブ/ネガティブ)を可視化する。これにより、商談の雰囲気や顧客の反応を定量的に把握でき、より的確な対応に活かせる。また、商談終了後には「商談分析」「スキル分析」「商談議事録」「概要」「タスク」など6つの項目について自動で分析する。このうち「スキル分析」では、営業担当者の「伝える力」や「聞く力」といったコミュニケーションスキルを評価し、可視化する。さらに、過去の商談をプロジェクト単位で紐づけて蓄積できるため、案件の進捗把握・管理が容易になる。

 

③機密情報を扱う商談でも利用できるセキュアな運用:AI音声認識「AmiVoice」はローカル環境で動作し、アプリケーションサーバーはオンプレミス環境で提供され、生成AIのクラウドサービスも顧客契約のAzure環境で利用できるため、機密情報を含む商談でも外部に情報を出すことなくセキュアな運用が可能。

 

④複数の商談を案件ごとに整理して管理:複数の商談をプロジェクト単位で紐づけることができ、案件ごとの進捗や内容を整理して管理することができる。

 

⑤柔軟なマイク構成に対応、あらゆる商談シーンをサポート:商談時のマイク構成が柔軟に選択することが可能。1つのマイクで商談を録音する「モノラル式」や営業・顧客それぞれにマイクを設置する「ステレオ方式」、Microsoft Teamsなど複数音源を活用する「マルチ方式」に対応する。モノラル方式でも話者ダイアライゼーション機能を利用して営業と顧客の発話を分離することができる。

 

「人とAIが協働」し営業活動の自動化へ

 

アドバンスト・メディアは、本ソリューションを通じて営業活動のDXを推進し、すべての営業職がテクノロジーの力で最大限のパフォーマンスを発揮できる社会の実現を目指す。大柳氏は今後の展望について、営業業務が人に頼る時代から変化していると指摘した上で「人とAIが協働するというスタイルに今後はさらに進化していくと予測している」と述べた。

 

さらに、属人化の解消と組織強化に向けては「営業パターン、プロセス、この辺を見える化することで、経験とか勘に頼る営業から、そういった属人的なところから再現性の高い安定した営業スタイルへの進化を図っていきたい」と強調した。

 

最終的なビジョンとして、大柳氏は「AIが支援のみならず、自律的に営業活動を行うAIエージェントとして進化をさせて、意思決定提案活動を担う次世代モデルの構築を目指していく」と、将来的な営業活動の自動化にまで視野に入れていることを明らかにした。