富士通、マルチAIエージェント連携

 富士通は、サプライチェーン内の異なる企業に属する、異なるベンダーにより開発された複数のAIエージェントが連携し、状況に応じて全体が適切に対応するマルチAIエージェント連携技術を開発したと発表した。同社は本技術を用いて、東京科学大学および、ロート製薬とともに、ロート製薬様のサプライチェーンを複数企業のAIエージェント連携により最適化する実証実験を2026年1月から開始した。
 マルチAIエージェント連携技術は、各企業が共有できる情報が限られた中で、各AIエージェントへの指示・交渉を行い全体として最適な状態に保つ不完全な情報下での全体最適制御技術と、各AIエージェント間の情報共有をセキュアに行うことを可能にするセキュアエージェントゲートウェイからなる。本技術により、通常時のサプライチェーンの運用を効率的かつ最適に行うだけでなく、急な需要な変化や事故・災害などの緊急時に迅速な回復を可能にする。
 同社は今後、異なる企業をまたがるセキュアなデータ&AI連携を行うAIスペースの、世界に先駆けた実現に貢献し、AIエージェントによる日本の産業界の競争力強化への貢献を目指す。それに向けて、より幅広く複雑なサプライチェーンに対応するための技術を開発し、2026年度中を目標に、当社の社会課題を起点とする事業モデル「Uvance」のDynamic
 Supply Chain事業を通じて提供する。これにより、企業のサプライチェーン戦略に新たな視点をもたらし、レジリエンスの強化と持続可能な事業運営の実現に貢献する。

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。