富士通、全固体電池界面構造のシミュレーション
富士通は、このほど、全固体電池の性能を大きく左右する現象について、これまで困難だった原子レベルでの解析を実現する、分子動力学(molecular dynamics)シミュレーション技術を開発したと発表した。本技術は、ニューラルネットワーク力場 (neural netwok potential、以下NNP)を用いたMDシミュレーションにおいて、長時間にわたる安定的なシミュレーションを可能にする、知識蒸留技術を用いたNNPの訓練手法の開発により実現したもの。これにより、10万原子を超える全固体電池の10ナノ秒という長時間にわたる挙動を、MDシミュレーションにより1週間の計算時間で高速、高精度に再現することが可能になった。
今後同社は、開発したMDシミュレーション技術を、シミュレーション結果や実験結果の因果関係を高速に分析できる、当社の技術である「因果発見AI」や、膨大な材料の探索空間から有望材料を高速に探索可能な「デジタルアニーラ」と連携させることで、AIにより材料開発の自動化を加速する新材料開発フローを確立し、お客様と共に新材料創出を目指す。
※ニューラルネットワーク力場:機械学習の手法の一つであるニューラルネットワークを用いて、原子間の相互作用を表す関数(力場)を構築するモデルのこと。大規模な原子系に対しても高い精度で高速に原子のエネルギーや力を計算することが可能。
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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