NEC、次世代セキュリティAIエージェント

NECは、12月3日に玉川事業場(神奈川県川崎市)で、「NEC Innovation Day 2025」を開催した。研究開発と新規事業における戦略説明と、AIを含む最新技術・ソリューションをデモ展示で紹介した。
 デモ展示した『サイバー攻撃の予兆を把握し対策する、cotomiを活用した次世代セキュリティAIエージェント』は、「.JP(日本のサイバー空間)を守る」ソリューションで、『待ち』から『先回り』の対策を行う。
 ここでの課題・背景は次の通り。
 サイバー攻撃の急増と手法の多様化に対し、事業継続性の確保が強く求められている。従来は、システムを構成する機器ごとに脆弱性の危険度や対策の要否を判断。対策箇所が膨れあがる一方、システム全体や事業への影響を考慮した効果的な対策は困難だった。
 そこで、新しい技術は『最優先で対処すべき脅威を選別する』。国内外から収集した様々な業種・企業に関連する脅威情報とNECのセキュリティ運用データをAIエージェントが分析し、潜在的な脅威を可視化する。
 また、『事業を妨げないセキュリティリスク診断』を行う。診断対象の情報システムをデジタルツイン上で再現し、自動で診断。実システムに影響を与えることなく安全に検証・対策立案ができる。
 さらに『対策の優先度を経営視点で判断可能に』。複数のシステムや重要設備に対し、攻撃を受けた場合の想定被害額をAIエージェントが推定。被害を数値化することで、経営者は対策の優先順位を迅速に判断できる。
 NECは高度化・巧妙化するサイバー攻撃の脅威が経済安全保障上の重要課題となっている昨今、国内およびグローバルに事業を展開する企業をこれらの脅威から防御するため、NEC独自のインテリジェンスとAI技術を融合した次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC(サイオック)」を新ブランドとして提供している。
 具体的には、高度なセキュリティ基準をベンチマークとして新設したCyber Intelligence & Operation Centerを司令塔とし、NEC独自の脅威インテリジェンスを活用して、サイバー攻撃の予兆把握からプロアクティブな防御、地政学的なサイバー脅威の分析とグローバルな攻撃トレンドに基づいた情報提供・報告支援・インシデント対応支援まで、サプライチェーンを含めた運用最適化を包括的に支援している。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。