NEC、羽田空港で自動運転レベル4支援の車両制御用設備
NECは、国土交通省東京航空局より受注した「東京国際空港制限区域内車両制御用設備(VME)」の構築を完了したと発表した。VMEは、自動運転車両と連動する信号設備や死角を補うカメラ設備などで構成され、東京国際空港(羽田空港)の制限区域内で運用が開始された。今月より、全日空と日本航空が、トーイングトラクターの自動運転レベル4を実用化しており、NECはこの実現に貢献している。
昨今、インバウンド需要の増加にともない、グランドハンドリングなど空港業務の省力化や効率化が急務となっている。これに対して国土交通省、エアライン、空港会社は連携し、トーイングトラクターや乗客・乗員を輸送するバスなどの自動運転化に向けた実証を進めている。一方、空港の制限区域内は一般の道路と大きく異なる運用環境であり、自動運転の実現には技術面・環境面など多岐にわたって最適化する必要がある。具体的には、滑走路や誘導路、駐機場などでの独自の運用ルールの策定や、航空機と車両が混在する環境に対応した車両制御が求められる。また、これまでは有人車両の運転手同士のコミュニケーションにより安全な交通が確保されてきたが、自動運転の導入により有人車両と混在するため、安全性を担保する新たな意思疎通手段の確立が必要となる。
NECは、半世紀以上にわたり航空管制システムと空港関連システムを担ってきた実績をもとに、エアラインや自動運転車両メーカーなどの関係事業者と連携し、空港の制限区域内での自動運転レベル4の実用化に必要となるVMEを構築した。
VMEの導入により、空港の制限区域内の交差点において、信号の自動制御が可能となる。これにより、有人車両と自動運転車両の安全かつ円滑な交通整理を実現する。また、自動運転車両からの見通し確保が困難な箇所にカメラ装置を設置し、その映像を自動運転の管理者へ配信することで、死角を補い高精度な安全管理が可能となる。
※自動運転レベル4:特定の条件下において運転操作をシステムにより自動化し、運転手の操作が不要な状態を指す。特定の条件とは、走行可能なエリアや天候、速度などの要素に基づく。
写真は VMEの信号設備
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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