世界初の自動運航レベル4商用化開始
日本財団(東京都港区、尾形武寿会長)は、無人運航船の実現と人や物資の安定的な輸送を目指すプロジェクト『MEGURI2024』を推進しているが、同プロジェクトに参画する離島航路客船「おりんぴあどりーむせと」が国内初となる「自動運航船」として国の船舶検査に合格し、一般旅客が乗船する定期船としては世界で初めて、自動運航機能(自動運転レベル4相当)を活用した商用運航を開始することになった。国内には400以上の有人離島があり、船員不足等で生活航路の維持が課題となる中、今回の運航開始を皮切りに船の自動化が加速することで、離島における定期的な人・モノの輸送手段の確保が期待される。
日本財団では、2022年1月から3月にプロジェクト『MEGURI2024』の第1ステージの一環として、船舶交通量の多い輻輳海域に選定された東京湾での運航や、北海道苫小牧から茨城県大洗まで約750㎞の長距離・長時間(18時間超)の無人運航を成功させ、現在進行中の第2ステージでは、より環境負荷が小さい輸送手段へ転換する「モーダルシフト」を担う一翼として、旅客船やコンテナ船、貨物を積んだトラックやトレーラーが自走して乗り降りするRORO船といった様々な船舶を商用運航させ、社会実装を目指している。
今回(第2フェーズ)の「おりんぴあどりーむせと」は、2025年度中に商用化予定の自動運航機能搭載船舶4隻のうちの第1弾で、一般乗客を運ぶ旅客船としては唯一となり、残る3隻の自動運航技術の実証など、日本財団では引き続き技術開発を進めながら、自動・無人運航に係るルールや法整備、社会的理解も促しながら、2040年には内航船の50%の無人運航化を達成したい考えである。
12月10日(水)に実施した、岡山県岡山市中区の新岡山港における自動運航デモ・船内見学会において、プロジェクト概要説明した日本財団の海野光行常務理事は「無人運航の社会実装に向けて最も重要なのは、実例や実績をとにかく積み重ねて行くこと。今回の挑戦や、今後の商用運航から得られた知見をもとに、船員の負荷軽減を通した物流の安定や航行の安全は持ちろん、国際的なルールづくりへの貢献も進めていく」と意欲を示した。 また、小嶋光信両備ホールディングス代表取締役CEO兼グループCEOは「離島を結ぶフェリーが商業運航可能な自動運航船として認められたことの意義は非常に大きく、海運の新時代を示す第一歩。この技術は、安全性の向上、海難事故の削減、船員の労働負荷軽減という価値を築いた。社会実装を進め、業界と共に未来の海上輸送を築いて行きたい」と話した。
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◆「おりんぴあどりーむせと」及び実証実験・船舶検査ー。
「おりんぴあどりーむせと」は、国際両備フェリーが運航する全長約66m・旅客定員500名の離島航路船で、新岡山港から土庄港(香川県・小豆島)を結ぶ。『MEGURI2040』では、離島航路における自動化実証のための試験船として使用されてきた。船舶往来が盛んで障害物となる島や岩礁も多い瀬戸内海域において、センサーやプランナー(避航ルートを自動で計画)等のシステムが適切に動作するか等を確認するための安全性評価が進められ、12月5日、国内初となる「自動運航船」として国の船舶検査に合格した。
船舶を航行させるには、国が定める技術基準に適合しているかを確認する船舶検査に合格する必要がある。国土交通省では昨年6月、自動運航船に係る安全基準・検査方法などを検討する「自動運航船検討会」を設置し、本年6月に検討結果を公表。「自動運航船」の航行には計二回の検査を受ける必要があり、一回目は設計段階・機器搭載前・船上で実施され、合格すると「初期段階の自動運航船」として検査証書交付。二回目をクリアすると「自動運航船」として運航可能になる。
◆「おりんぴあどりーむせと」を除く第2フェーズ3隻の船舶概要ー。
◎内航コンテナ船「みかげ」(全長65m):第1ステージの実証実験船でもあり、日本で最も普及している749総トンのコンテナ船。自動化を社会実装レベルに高めることで、無人運航船の普及促進を目指す(神戸ー名古屋/商船三井他3社)。
◎Ro―Ro船「第二ほくれん丸」(全長173・8m):釧路から日立の往復約1600㎞の農産物を運ぶ。漁船過密海域と濃い霧が発生する海域を含む航路での商用運航ベースでの実証を目指す(釧路-日立/川崎汽船他3社)。
◎新造内航コンテナ船「げんぶ」(全長134・9m):無人運航船に必要なシステムを全て備えた新造船。無人運航船として一からコンセプトを開発し、高度な自律航行機能に加えて機関部の遠隔監視機能や係留時の省力化技術を搭載。無人運航船技術による船員の負担軽減の効果最大化を目指す(神戸―大阪ー名古屋―横浜/MTI他15社)。
◆自動運航を支える陸上支援センター=従来船上で行ってきた業務を陸上で実施できるようにするため、機関部の遠隔監視や、運航計画の立案などを実施し複数の無人運航船を同時に支援する場所として、陸上支援センター(Fleet Operation Center:FOC)を構築。これにより、船員の多様な働き方の実現やより安全な運航を実現する。
◎常設型陸上支援センター:複数船舶の運航監視、航海機能・機関機能に関する個別支援、航海計画策定などの陸上支援機能をすべて兼ね備えている(古野電気/BEMAC/サンフレム)。
◎移動型陸上支援センター:複数船舶の同時監視等を可能にしつつ、将来的な普及を見据えて陸上支援に必要な機能をコンパクトに集約。災害時の冗長性担保のため車両でけん引・移動可能にしている(日本無線)。