「天地人」、18日に地方自治体インフラAXサミット

 「地方自治体インフラAXサミット 2026」は、2月18日(水)午後1時から午後8時まで(懇親会を含む)、「Tokyo Innovation Base (TIB)1階 SQUARE―1(東京都千代田区丸の内3―8―3)で開かれる。主催は地方自治体インフラAXサミット2026 実行委員会。運営は株式会社天地人。公式サイトはhttps://ax2026.lginfra-summit.com/
 同委員会は、限られたリソースの中で持続可能なインフラ管理を実現することを目的とした組織。行政機関、民間企業、大学・研究機関が協力し、ベテランの経験と勘をAIで継承可能な資産に変えることで、地方自治体インフラの未来を切り拓く。
 同サミットでは、国家成長戦略から現場実践まで、中央省庁、大学教授らによる3つの基調講演と全国の先進自治体・企業が登壇する3つのテーマ別セッションを通じて、限られたリソースの中で持続可能なインフラ管理を実現する道筋を示す。ベテランの経験と勘をAIで継承可能な資産に変える。人口減少時代における持続可能なインフラ管理の答えを探る。
 地方自治体のインフラ管理は、ベテラン職員の引退、財政基盤の縮小、労働力不足という三重苦に直面している。さらに老朽化するインフラの維持管理需要は増大し続けており、従来の手法では持続可能性を確保することが困難になっている。
 サミットが目指すのは、人口減少への対症療法ではない。ベテランの経験と勘を、AIで「継承可能な資産」に変える。データで根拠を示し、議会や住民への説明責任を果たす。限られたリソースを、最も効果の高い場所に集中させる。こうした構造的な転換によって、住民サービスの質を落とさず、むしろ職員ひとりひとりの専門性を高め、持続可能なインフラ管理を実現する。
 このほど、愛知県豊田市長の太田稔彦氏、静岡県磐田市長の草地博昭氏の登壇が決定した。両市長には、基調講演「インフラの未来を描く―国交省の『インフラ経営』と、地方都市の『未来戦略』 DXとPPP/PFIで実現する、持続可能な群マネジメント」に登壇いただきます。
    
 プログラムは次の通り。
 【基調講演1】10人の仕事を8人で回す―人口減少局面における社会システムの再構築と成長戦略へのパラダイムシフト
 登壇者:MC 岡田隆太朗氏(日本ディープラーニング協会)、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局次長 吉田宏平氏、TBA(調整中)
 国家成長戦略に関するパネルディスカッションを実施する。
 デジタル赤字約7兆円、IMD世界デジタル競争力ランキング30位という「デジタル苦戦」の日本が描く、世界への「反転攻勢」のシナリオとは何か。成長戦略「17の分野」にAIや半導体と並んで「防災・国土強靭化」が選ばれた真意は何か。規制撤廃が拓く新しいパートナーシップと、スタートアップや企業城下町の役割について、国家戦略レベルから議論する(国家成長戦略パート)。
 【基調講演2】インフラの未来を描く―国交省の『インフラ経営』と、地方都市の『未来戦略』 DXとPPP/PFIで実現する、持続可能な群マネジメント
 登壇者:国土交通省総合政策局社会資本経済分析特別研究官 小林正典氏、豊田市長 太田稔彦氏、磐田市長 草地博昭氏
 国土交通省総合政策局の小林正典氏が「産学官連携によるインフラ戦略の推進へ―社会資本整備のストック効果最大化を推進するためのインフラDXおよび官民連携の支援体制構築」をテーマに講演する。
 インフラを「コスト」から「資産」に変える「インフラ経営」への転換、個別管理の限界を突破する「群マネジメント」の実装、PPP/PFIの戦略的活用について、国の支援体制とともに解説する。
 豊田市(太田稔彦市長)は、『インフラを「守る」から「価値を生む」へ ~「管理者」から「プロデューサー」への役割転換~』と題して講演する。
 行政が単なる管理者にとどまらず、産官学連携の「プロデューサー」としてどのように立ち回り、リーダーシップを発揮してきたのか。「Digi田(デジデン)甲子園2023」での内閣総理大臣賞を受賞した取り組みや、市内で行われている数々の実証実験の事例を交えながら、豊田市が実践する「価値を生む」インフラ経営について紹介する。
 一方、磐田市(草地博昭市長)には、『「笑顔」をKPIに。~対話で拓く、ウェルビーイングな官民連携~』と題して講演する。「アジャイル行政」という言葉が示す通り、計画偏重ではなく、市民の声に耳を傾けながら走り続ける磐田市。行政がいかにして「編集者」としての視点を持ち、既存の地域資源や民間企業の技術を活用し、新しい価値を引き出しているのか。市民の「笑顔」を成果指標(KPI)に据えた、ユニークかつ本質的な取り組みについて講演する(国土・地域戦略パート)。
 【特別講演】「インフラ経営」を科学する―なぜ今、EBPM型インフラマネジメントなのか? AI×データが変える意思決定の『新』常識
 登壇者:大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻教授、サステイナブル・インフラ研究センター長 貝戸清之氏
 SIP(国家プロジェクト)で見えたインフラ管理の課題と未来図、「勘と経験」と「データ」の融合によるEBPMの応用、AI変革の鍵となる「データ」の重要性について解説する(理論・戦術・方法論パート)。
     
 セッション。先進自治体とソリューション提供企業による実践報告
 【Session 1】ベテラン引退後も水道を守る―AIが継承する、現場の『経験と勘』 見えない地下インフラを『データ化』する技術とチーム論
 登壇者:モデレーター 小嶌久美子氏、会津若松市上下水道局上水道施設課兼下水道施設課主幹 遠藤利哉氏、磐田市環境水道部上下水道工事課水道工事グループ 松尾聡幸氏、佐賀市上下水道局水道工務課管路計画係主査 姉川和彦氏、株式会社天地人執行役員COO 樋口宣人氏
 会津若松市、磐田市、佐賀市など、全国で先駆的な取り組みを進める自治体の水道事業担当者が登壇する。水道番長としての現場の矜持と課題や、若手チームによる広報の実践、三世代の連携で実現した組織ぐるみでの取り組みなど、それぞれの現場で培われた知見を共有する。
 天地人の樋口宣人氏は、衛星データとAIによる「宇宙からの」漏水リスク診断・管路診断の可能性を示す。人が減る中で「技術のバトン」をどう渡すか。現場の実践者たちが、それぞれの答えを持ち寄る(上下水道・技術継承セッション)。
 【Session 2】道路を「コスト」から「価値」へ~AIと移動データで、維持管理と都市活動を最適化する~
 登壇者:モデレーター 長森ルイ氏、元国土交通省大臣官房技術調査課建設技術政策分析官 西尾崇氏、岡崎市土木建設部道路維持課主査 新川寛成氏、東京電機大学システムデザイン工学部情報システム工学科教授兼エクスポリス株式会社CEO 松井加奈絵氏、アイシンLBS製品本部移動サービス事業推進部新規事業推進室室長 手嶌亨氏。
 道路行政におけるメンテナンスサイクルの現実、都市機能最適化への挑戦、データ連携基盤による更新不要施設の可視化と都市のリ・デザイン、走行データ(モビリティ)を活用した道路劣化状況の網羅的把握手法について議論する。データの取得手法と活用、「選択と集中」を行い地域インフラ(道路)の持続可能性を高める手法について、多角的な視点から検討する(道路・都市価値向上セッション)
 【Session 3】日常の点検から、緊急時の対応まで―『正しいメンテナンス』を再定義する 平時のDXが、有事の命を守る。フェーズフリーなインフラ管理
 登壇者:モデレーター 前田 明子氏、玉名市建設部土木課課長補佐(橋梁メンテナンス係長兼務) 木下義昭氏、田辺市建築課調査計画係係長 田上健太郎氏、福井県総務部知事公室(土木部政策推進G兼務)ドローン活用ディレクター 朝井範仁氏、Spectee代表取締役CEO 村上建治郎氏
維持管理・防災・災害対応セッション
 現場での「内製化」によるコスト削減の実践、建築・調査計画視点でのDX推進、ドローンを活用した先駆的なインフラ点検・防災モデル、SNS・AI解析によるリアルタイム災害情報の把握手法を紹介する。優れた取り組みを「どう組織に通し、実装したか」、平時の維持管理で使うドローンやAIが災害時の状況把握にそのまま使える強みなど、フェーズフリーなインフラ管理の実践について議論する(維持管理・防災・災害対応セッション)。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。