南相馬発、飛行艇ドローンが復興へ〝飛び立つ〟

 株式会社ハマ(福島県南相馬市、金田政太代表取締役)は、完全自動で水上離発着が可能な飛行艇型無人航空機「ハマドリ」=写真=をはじめ、様々なUAVを自社で開発・製造している。主に海洋に関連する産業分野や、防災・防衛分野での活用が期待されており、2024年1月の能登半島地震においても「ハマドリ」による海洋調査・撮影に従事した。
 同社は、3月6日に高輪ゲートウェイシティ(東京都港区)で行われた「福島イノベーション・コースト構想 メディア発表会」に参加して、同構想をけん引し福島発の事業展開を進めるスタートアップ企業・進出企業のひとつとして発表会で金田代表取締役が事業内容などを発表した。
 金田代表取締役は次のように述べた。
 「当社は、『J-Startup TOHOKU』(東北経済産業局及び仙台市が選定した、東北地域から飛躍的な成長が期待される企業)のスタートアップです。なかでも、世界に類を見ない水上発着可能な飛行艇型の無人航空機を、自社開発でフラッグシップとして持っていることが大きな特長です」と述べた。
 さらに「通常ドローンは、複数のプロペラが上向きに付いているのをイメージされる方が多いと思いますが、我々の機体は固定翼、一般的な飛行機と同じように大きな主翼が取り付けてあります。これが、前進するときに揚力を生み出すことによって、効率よく飛行することができるので、長時間、長距離を飛ぶことができるのが特長になっています。さらに海であったり、川、湖の水面を滑走路にして離着陸できる機体になっています。固定翼機は、長い時間距離を飛べるのですが、どうしても一定の速度まで、速度を上げないと飛ぶことができないので、長い滑走路が必要です。日本だとそういう場所がなかなか無いのですが、我々眼を付けたのは、国内でも平らで開けている場所、それが水面です。我々の機体は水面の中でも、うねりがあるような外洋環境で自動で離着陸できるという、世界で実用化されている例がない技術になります」と話した。
 「今までのドローンは空中から水面や地面を見るだけだったのですが、我々は水面から音響のセンサーなどを使って水中観測を行ったり、水中の機器と通信をすることができる今までにないドローン利活用も開発しています」という。
 社名のハマに込めた思いは何か。「破魔矢というお正月などに神社で授与される縁起物から取っています。今、ドローンが防災分野や安全保障分野でニーズが高まっているなか、日本をはじめ世界に降りかかる災いから生活を守っていく、そういう無人機の技術を作っていきたいことを、縁起物である破魔矢にかけました」(同)。
     
 株式会社ハマの金田代表取締役は講演後、電波タイムスの取材に対して次のように話した。
 「飛行艇型ドローン開発で我々目指したのは、うねりがあるような外洋でも自動で離着陸できるところを目指しました。平らな水面、湖などは滑走するのが楽ですが、うねりがあるとそこはほんとうに凸凹な滑走路を走って飛ぶ飛行機みたいなもので、技術的難易度が高かったと思っています。最初は平らな水面で実験を始めて、離着陸を確立しましたが、うねりのある外洋に持っていった瞬間、全然うまくいかなくて、何機も機体を損傷しながら開発を行ってきました」と述べた。
 「結果的には、自動での制御方法であったり、その制御を実現する上で一番最適なハード面での設計を突き詰めていった結果、うねりがある外洋でも自動で離着陸できました」という。
 さらに「海水がどんどんかかってくるような環境で使う精密機器なので、電子機器が一番苦手な海水が難敵でした。相性が非常に悪い中で、防水をしっかりしようとすると段々重たくなって、ドローンという飛び物としては性能が落ちてしまう。ですから重量を増やさないようにしながら、最低限防水性をいかに担保していくか、その辺の調整はかなり工夫しました」と強調した。
 形状も、水面から離れやすい形状、すぐに飛び立てるような空気力学の設計であったり、推進系の配置だったり、様々な試行錯誤の中でこの形状に行き着いている。
 金田氏は、最後に福島の復興への思いを話した。
 「我々福島に行って感じたのは、ただの復興ではない『創造的復興』というキーワードでした。元に戻すことだけでなく、そこからさらに成長していく産業の集積地であると。一度ダメージを受けてしまったが、より良い地域に変えていく、そういう取り組みの部分に非常に共感しまして、それを進めるひとつの事例として、我々も活躍できれば、貢献できればと事業を行っています。我々の技術が実際に防災減災という部分で少しずつ役立ち始めていることは、開発者、エンジニア冥利に尽きると思っています」。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。