【3.11 いのちを守る】富士山噴火への備えとは

 「人と出会い、繋がり、学ぶ。」をテーマにした、つながる防災イベント「防災meet up!」が3月10日に大手町プレイス(東京都千代田区)で開催された。主催は大手町プレイス管理組合。協力はいのちとぶんか社、TBWA HAKUHODO。企画・運営は花咲爺さんズ。
 オフィス街・大手町から提案する『これからの防災』に関するイベントで7つのコンテンツを展開した。最新のBCP対応から、復興マルシェ、さらには起震車の体験までいつものオフィス街で、同僚や地域、そして大切な人を守るための知識や人と出会う場を提供した。
 2026年3月11日、東日本大震災から15年という節目を迎える。復興への歩みが進む中、南海トラフ地震や首都直下地震など、新たなリスクへの備えは待ったなしの状況だ。大手町プレイスでは2023年より毎年、企業のBCP担当者やワーカーと共に、防災を考えるイベントを開催してきた。「防災 meet up!」には、ビジネスシーンで日常的に行われる「Meet up(出会い)」のように、もっと身近に、もっと前向きに防災と触れ合ってほしいという思いを込めた。
 〝情報とつながる〟「BCP計画アップデート・シミュレーション」は、想定外を「想定内」へ。3大災害(南海トラフ・富士山噴火・豪雨災害)最新データに基づくBCP徹底検証―として3つの講演を行った。。
 Session.1は「富士山大規模噴火と広域降灰リスク ~民間企業に求められる究極の備えとBCPへの示唆~」と題して、秦康範・日本大学危機管理学部危機管理学科教授が講演した=写真。
 講演内容のポイントは次の通り。
 ▽わが国は、1914年の桜島大正噴火以降、100年以上、降灰を伴う大規模な噴火は発生していない。
 ▽高度に発達した近代都市が、大規模な降灰を経験した歴史は、海外においてもない。
 ▽実際に噴火するまでどのような噴火が起きるのか、いつ終わるのか、専門家でも予測が難しい。
 ▽過去の「宝永噴火」と同規模の事態が起きれば、広域インフラは完全に麻痺する。
 ▽処理が必要な火山灰は、東日本大震災の災害廃棄物の約10倍に上ると試算。火山灰の回収だけでも相当な時間がかかる。収集した灰の仮置き場所や最終処分の方法も決まっていない。
 ▽物流も鉄道も止まる中、被災エリアで無理に事業を継続することは現実的ではない。平時から国内外に拠点を分散しておくことが大事。
 Session.2は「近年の豪雨災害の実態から自社の備えを問い直す ~起こりうる場所で起きる洪水・土砂災害とハザードマップの注意点~」と題して、牛山素行・静岡大学防災総合センター教授、東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター客員教授がオンラインで講演した。
 講演内容のポイントは次の通り。
 ▽洪水・土砂災害は、(主に)起こりうることが、起こりうるところで発生している。
 ▽「いつ起こるか」の予測は難しいが、「ここではどんなことが起きそうか」はある程度わかる。
 ▽ハザードマップが重要だが、見る上での注意点もある。
 ▽単純化した正解はない。使える情報は飛躍的に増えた。(経験だけに頼らず)情報を元に、私たち一人ひとりが、自ら判断していくことが重要だ。
 Session.3は「南海トラフ」をテーマに、石井和尋SOMPOリスクマネジメント クライシスマネジメントコンサルティング部主席コンサルタントが講演した。

 このほか、〝家族とつながる〟「災害用伝言ダイヤル(171)体験」を開催。いざという時、家族や大切な人と連絡を取るために。災害伝言ダイヤル(171)は、災害時に安否情報を音声で登録・確認できるサービスだ。イベントでは、災害発生時を想定し、実際に伝言を録音・再生する体験を行った。
 〝脅威とつながる〟「ゼッタイに楽しめない茶道体験」は、静寂な「茶道」の空間が一転、南海トラフ地震を想定した震度7の激しい揺れに襲われるシチュエーションを体験。外国人旅行者をメインに、言語の壁を超え、理屈抜きで「揺れの脅威」を直感的に伝えるコーナーだった。
 また、〝備えとつながる〟防災プロダクト展示・体験のコーナーを設けた。NTT東日本などが出展した。このほか、防災ワークショップや復興マルシェを開催した。

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。