山林火災対応でドローン活躍 JUIDA会員社に感謝状
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京都文京区、鈴木真二代表理事)は、3月18日にJUIDA内で、今年1月に発生した山梨県上野原市の山林火災において、ドローンを用いた災害支援活動に尽力したJUIDA会員企業への感謝状贈呈式を開催した。
感謝状が送られたのはブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之代表取締役社長最高執行役員)、富士山ドローンベース(山梨県富士吉田市、渡邉秋男代表取締役)、Prodrone(名古屋市、戸谷俊介代表取締役)の3社。
JUIDAは、1月9日に陸上自衛隊東部方面隊から活動要請を受けるとともに、1月21日には同隊からの撤収要請に伴う大月市からの活動要請、また1月23日に上野原市からの活動要請を受け、2月12日の鎮火宣言に至るまで、ドローン民間防災組織JUIDA「Dキューブ」(Drone Disaster Dispatchの略、JUIDAの災害対応部隊)を派遣した。
ブルーイノベーションは、陸上自衛隊東部方面隊からの活動要請に即応し、その日のうちに出動し、消火ヘリが飛行しない夜間を活用し、夜を徹して「現地離発着地の確認」「火点の確認」「自衛隊及び消防本部への情報提供要領の確立」など、その後を引き継ぐことになるドローン団体の活動の基礎を形つくった。同社は、能登半島地震、能登豪雨水害、八潮市道路陥没事故など、JUIDAが対応してきたすべての災害において、常に一番手として真っ先に活動に参加している。
富士山ドローンベースは、地元山梨県富士吉田市に所在するDキューブ会員として、積極的かつ継続的に同活動に参加し、1月10日~2月12日の34日間にわたる期間、のべ39回もの調査を行った。また、自衛隊や消防本部への報告手順をシステム化することで、ほぼリアルタイムでの報告を行うことができるようになり、消火活動方針を決める上での報告資料としての価値を高めた。
Prodroneは、自社が開発した国産防災ドローン「PRODRONE RESCUE」により、地上消防隊の消火活動に必要な火点位置の情報収集活動及び地上消防隊が燃え広がる火に巻き込まれないような監視活動を行った。自衛隊や消防がヘリによる消火活動を昼間に行っていたが、同社の飛行は併せて行っており、航空の安全を確保するため関係機関が的確に活動ができるよう航空運用調整を同社は行った。同社のパイロットや補助者は、ヘリが上空を飛び交う中で調整に基づく正確かつ細心の飛行を行った。JUIDAによると、林野火災において、ヘリとドローンが同時に同一場所を飛行したのは国内では初の事例という。
贈呈式では、JUIDAの嶋本学Dキューブ本部長から熊田ブルーイノベーション社長、渡邉富士山ドローンベース代表取締役、森内倫子Prodrone広報戦略部長にそれぞれ感謝状が授与された。
熊田社長は「私たちは、ドローンを災害分野において防災無線として様々な活用ができないか等ユースケースを検討してきた。現在、総務省消防庁でも、災害時における防災無線活動という観点で、いろいろな検討が繰り広げられている。今後も、こういった活動を行うことで、ドローンが〝命を守るインフラ〟として貢献すると私たちは確信している」と述べた。
渡邉代表取締役は「発災3日目から、最大22日間現場に入らせていただいた。私自身も山火事の現場に入ったことは初めてで、現場は想像や訓練とは全く違って、厳しいところがあった。ドローンの利活用という部分では、赤外線を使ったり、レーザー距離計を使って、山火事の火点の情報をいち早くプロットして、それを地図に落とし込んで、それを消防や自衛隊の災害対策本部に共有する作業を行った。ドローンが社会貢献で活躍できる場ができた。今回の山林火災で培った経験を礎にして、今後も災害対応や火山の噴火などで活用していきたい」と述べた。
森内部長は「私どもは、愛知県で『あいちモビリティイノベーションプロジェクト』を進めており、その中で南海トラフ地震に対しての準備、災害対応もテーマに掲げて行っている。その中で大きな課題は、航空運用調整である。これまでドローンが防災や災害対策をすることがなかった中、新たにドローンというツールが入っていく。この難しさを非常に実感しながら、2次災害を絶対に起こさない、役に立つところで使っていただくことをどう両立させるか考えている。今回、活動した経験は大きくて今後、愛知県のみならず、様々な所で私どもがサポートできることがあればと思う」と述べた。
嶋本本部長は「Dキューブとして林野火災への対応は初めてだったが、皆さんの目覚ましい活躍により、上野原市、大月市両消防や陸上自衛隊から称賛の声をいただいた。林野という高低差がある地形の特性上、地上からの観測のみでは火災の状況把握が難しいが、ドローンによる上空からの精密な情報収集により、消防や自衛隊等の消防消火活動を支える上で重要な役割を果たした。ドローン技術が社会の安全安心に一層貢献していくためにも、JUIDAはあらゆる機会を捉え、今回培った知見を社会に広めていきたい」と述べた。
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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