「JAPANローミング」4月1日から提供開始  TCAと携帯5社、非常時に他キャリア間のネットワーク融通可能に

 TCA(電気通信事業者協会)とNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンクおよび楽天モバイルの5社(携帯5社)は、非常時における通信の代替手段の提供を目的として、非常時の通信を支える「JAPANローミング」を、2026年4月1日に開始すると発表した。大規模災害や障害などにより、特定の通信事業者の通信サービスが利用できない場合でも、代替手段として他の通信事業者のネットワーク(4G LTE)を活用して、一部通信を利用することができる。
 「JAPANローミング」とは、非常時における通信手段の確保のため、国内携帯事業者が共同で取り組むサービス。災害などで契約携帯事業者(被災事業者)のネットワークが利用できなくなった場合に、他の事業者(救済事業者)の設備に切り替えて、通信を可能とする仕組み。
 「非常時における事業者間ローミング」として、令和4年から総務省の「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」において検討が進められ、第14回検討会の結果を受けて、令和6年8月以降は、総務省情報通信審議会情報通信技術分科会IPネットワーク設備委員会で審議されていた。
 携帯電話サービスは、日常生活や経済活動に不可欠なライフラインであり、地震や台風などの大規模災害時や、通信設備の大規模障害発生時においても、継続的に通信サービスを利用できる環境を整備することが重要であり、携帯5社ではこれまでも非常時における通信代替手段として、固定電話や公衆電話のほか、「00000JAPAN」などの無料Wi-Fiサービスの利用を推奨してきた。一方で、付近に代替手段がない場合の通信手段の確保が課題となっていたという。
 同サービスは、被災事業者の被害状況等に応じて、次の2種類の方式で提供する。方式は、携帯電話サービスが利用できないエリアや対象人数、通信設備の状況などを踏まえて、携帯5社間で協議の上で決定する。
 【フルローミング方式】
 ▽音声通話:利用可能(緊急通報含む)
 ▽データ通信:利用可能(送受信最大300kbps)
 ▽SMS:利用可能
 【緊急通報のみ方式】
 ▽音声通話:110(警察)、119(消防/救急)、118(海上保安庁)への発信のみ(折り返し不可)
 ▽データ通信:利用不可
 ▽SMS:利用不可
 (※MVNO事業者契約の利用客は、緊急通報のみ方式では音声通話(緊急通報の発信)、フルローミング方式ではデータ通信を除き、音声通話・SMSを利用できる。詳細は、MVNO各社に確認)。
 フルローミング方式は、利用中のスマートフォンが同サービスに対応している場合、自動でほかの通信事業者のネットワークに接続され、携帯電話のピクトが「JPN-ROAM(JpnRoam)」と表示される。Android 端末でデータ通信を利用する場合、データローミング設定をオンにする必要がある。(データローミングをオンにしたまま海外に渡航すると、予期せぬデータ通信料が発生する可能性がある。データローミングをオフのままで利用できる端末もある)。
 「JPN-ROAM」などの表示が出ていても通信ができない場合は、ネットワークの選択方法を「手動選択」に設定することで改善することがある。一覧から「JPN-ROAM D」「JPN-ROAM K」「JPN-ROAM S」「JPN-ROAM R」のいずれかを選択。「手動選択」後は、JAPANローミングの終了時に「自動選択」の設定に戻す必要がある。
 緊急通報のみ方式は次の手順で利用する。
 ①ネットワークを「手動選択(自動選択をオフ)」に設定の上、契約中の事業者以外のネットワーク名を選択。ネットワーク名は次の通り。
 ▽NTTドコモ:「NTT DOCOMO」「DOCOMO」「44010」
 ▽KDDI、沖縄セルラー:「KDDI」「KDDI_50」「44050」
 ▽ソフトバンク:「SoftBank」「44020」
 ▽楽天モバイル:「Rakuten」「44011」
 ②「圏外」と表示されても、繰り返し発信を試す。
 ③緊急通報が終了したら、ネットワークの選択方法を「自動選択」の設定に戻す。設定を戻さない場合、「JAPANローミング」提供終了後、平常時の通信が利用できなくなる。
 対象機種は2026年春以降に発売された機種は順次対応予定。それ以外の端末の対応状況については各事業者に問い合わせる。
 大規模災害・障害などの非常時に同サービスが提供された場合、携帯5社のウェブサイトなどで、提供方式、提供エリアなどを案内する。携帯5社では今後も、ネットワークの相互提供によって実現する「JAPANローミング」を重要な社会貢献の一環と位置付け、非常時における通信の確保に尽力するとともに、誰もが安心して利用できる通信ネットワークの実現を目指すとしている。

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。