新春特別インタビュー NHK 上田会長に聞く

NHKは、現経営計画(2018―2020年度)で、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に最高水準の放送・サービスを提供することを目指すとともに、信頼される「情報の社会的基盤」の役割を果たそうとしている。また、昨年12 月1日には、新4K8K衛星放送がスタートしたが、その中でNHKは、世界で初めてとなる8K放送を実施している。全国で受信公開やイベントを開催しているが、今後もパブリックビューイングなどを行い、2020年に向けて4K・8K放送の普及促進に注力していく。 6つの公共的価値を指針に、「公共メディアへの進化」を目指すNHK。2017年1月に就任し、もうすぐ3年目を迎える上田会長に、公共メディアへの進化、4K・8K放送、常時同時配信、受信料の値下げ、この一年の抱負などを聞いた。 ――就任からこれまで振り返っていただき、特に心に残った出来事などをお願いします。 上田 会長就任からまもなく3年目を迎えますが(2017年1月25日就任)、特に思い出深いのは、就任まもない国会審議で、NHKの予算・事業計画が全会一致で承認されたことです。衆参両院を通じて全会一致で承認されたのは4年ぶりでした。国民を代表する国会で全会一致の承認を得ることが、NHKに対する視聴者・国民の皆さまの信頼の証と考えてきただけに、とても感慨深いことでした。NHKは、皆さまの信頼という基盤の上に成り立っている。そうした思いは、今日に至るまでいささかも変わることはありません。 昨年1年間を振り返ってみますと、平成最悪の水害となった西日本豪雨や北海道全域が停電した北海道地震など、自然災害の多い年でした。甚大化・広域化・長期化する災害に対し、NHKは、全国の54の放送局のネットワークと機動力を生かして防災・減災報道に全力を挙げ、命と暮らしを守るという公共放送・公共メディアの使命をしっかりと果たすことができたと思っています。 また、連続テレビ小説は、現在放送されている「まんぷく」に至るまで引き続き多くの皆さまに愛され、昨年度レギュラー番組化した「チコちゃんに叱られる!」もNHKになじみの薄い若年層を含めて幅広い方々に親しまれました。チコちゃんの決めゼリフ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は、昨年の「新語・流行語大賞」のトップ10入りをしました。テレビ・ラジオ・インターネットを活用して、多彩で豊かな放送・サービスを数多くお届けすることができたと実感しています。 営業業績も好調でした。営業努力に加え、一昨年12月の最高裁判決を受けて自主的に受信契約を申し出る方が増えたことから、今年度の受信料収入は、計画値を上回っています。その結果、現経営計画で一部実施している負担軽減策に加えて4.5%程度の値下げを行い、あわせて422億円規模の還元を実施する道筋をつけることができました。 昨年12月1日には、新たにBSで4Kチャンネルの「BS4K」と8Kチャンネルの「BS8K」を開局しました。特に「BS8K」は、NHKが1995年に8Kの研究開発に着手し、世界で初めて本放送を開始しました。放送史に新たな1ページを刻むことができました。こうした放送の高度化を進めることは、放送メディアの発展や放送コンテンツ市場の拡大につながるものと期待しています。 (全文は1月4日号に掲載)