【非接触ソリューション特集】アイリスオーヤマ 配膳ロボット機能向上

 アイリスオーヤマ(宮城県仙台市、大山晃弘社長)は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、対策商品として、マスクやAIサーマルカメラ等の商材を積極的に開発・販売してきた。また、今年2月には、ソフトバンクロボティクスグループ(東京都港区、冨澤文秀社長)と合弁会社「アイリスロボティクス」を設立し、非接触化の推進を図るべく、BtoB向けロボットソリューションとして、法人向けサービス・ロボットの提供と販売を開始した。同社が展開する主なロボットとしては、AI除菌清掃ロボット「Whiziアイリスエディション」および、配膳・運搬ロボット「Serviアイリスエディション」がある。 AI除菌清掃ロボット「Whiziアイリスエディション」は、自律走行が可能な乾式バキュームクリーナーのAI除菌清掃ロボット。掃除業務の自動化だけでなく、空間浮遊菌量の削減や床面のウイルスを含む菌の削減効果が期待されることに加えて、様々な外部機器と接続できるコネクタにより、スピーカーやカメラを用いた販促やマーケティングへの活用といった、清掃にとどまらない多様な付加価値を提供する。一方、「Serviアイリスエディション」は、飲食店やホテル・旅館、小売店などで従業員と共に働くことを目的に開発された配膳・運搬ロボット。簡単な操作で配膳・運搬を行うことができ、従業員がより多くの時間を接客に充てることができる。アイリスオーヤマは、飲食業界への市場創造に加え、屋内配送の可能性がある産業を中心に新たな活用を提案している。 11月1日、アイリスオーヤマは「Serviアイリスエディション」の機能アップデートを実施した。具体的な概要は、①最大5台を同時稼働できる「マルチロボット機能」②「走行音や到着時の音声変更」③「走行スピードの変更」の3点。「マルチロボット機能」は、それぞれのロボットが他のロボットの位置を正確に把握できるため、広いホールのみならず、キッチンの出入り口、通路などの狭いスペースもスムーズに走行する。料理の提供頻度が高く、人流が多い食べ放題の店舗などで、より効率的な配膳・下げ膳を行うことが可能になる。「走行音や到着時の音声変更」は、走行音の変更や、配膳・下げ膳時など特定のシーンでの発話音声のセリフの設定、独自の音声ファイルへの変更など、利用者のブランドや店舗の雰囲気に合わせたカスタマイズが可能になる。「走行スピードの変更」は、最高走行速度が0・8m秒(従来は0・6m秒)となった。初期導入時に、利用者の環境に合わせた速度設定をすることで、安全でスピーディな配膳・下げ膳が可能になる。 なお、「Serviアイリスエディション」は、北海道札幌市のサッポロビール園の大規模レストラン「ポプラ園」に4台が導入され、実稼働している。これにより、従来の半数以下のスタッフで店舗営業を行うことが可能となり、スタッフは利用客の接客対応に集中でき、サービス品質の向上を実現しているという。 アイリスオーヤマは今回の取り組みについて「様々な業界における知見を持つ当社が、AIロボットOS分野で高い技術を持つソフトバンクロボティクスグループと提携することで、法人向けサービス・ロボット分野での市場創造を目指していく」とコメントしている。