
大規模災害時の多大なコスト負担への後押しを期待、民放連がパブリックコメント
一般社団法人日本民間放送連盟(民放連、東京都千代田区、早河洋会長〈テレビ朝日会長〉)は8月1日、総務省の「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」取りまとめ案に対する意見を総務省に提出した。
取りまとめ案の全体については、広域大規模災害時に放送サービスを維持し、住民の生命・財産を守る情報提供を継続するための検討は非常に有意義であると評価し、民間放送事業者はそれぞれの経営環境や地域事情を踏まえ、他のメディアや関係機関と適切に連携し、放送に期待される責務を果たしていくとしている。
民放連は、今年3月24日に開催された第3回会合のヒアリングにおいて、地上基幹放送事業者は平時から広域大規模災害の発生を想定、多大なコストを負担し、24時間対応可能なニュース制作環境、取材用ヘリコプター、SNG(衛星通信機器)等の維持に多大なコストを負担していることを説明しており、今回は行政に対して、こうした努力を後押しする施策を期待しているとした。
取りまとめ案の検討課題「放送ネットワークの強靭化の在り方①BCPの実効性の確保、②耐災害性強化に向けた支援等」については、「設備的な対策強化を求めた場合、放送事業者の経営への影響は大きいことから、一律に規制を強化するのではなく、施設ごとの重要度を見極め、バランスの取れた対策を進めるべき」と「今後の放送ネットワーク構築や強靭化に伴う設備投資は、各事業主体の判断のもと、よりサステナブルで経済合理性に優れたものとする点も十分に考慮する必要がある」とする提言については、放送事業者の実情に沿っており、至当であると評価している。
また、検討課題「ローカル局の放送が停波した場合の代替手段の確保」については放送事業者による災害時の情報提供に関して、「放送に加えインターネットを利用しニュース等の一部の放送番組の配信等を行っており、また、スマートフォンでラジオを聞くことができるradiko等のインターネット配信サービスも広く利用されており、災害時等においては、通信が放送の補完的な役割を担うことも期待される」と「能登半島地震をはじめとする災害時に、放送だけでなく当該事業者のウェブサイトやアプリ、動画配信サイト、SNSなど多様な手段で災害情報や被災状況が伝えており、情報アクセス手段の重層化は重要」と整理したことについては、重要であると評価している。
さらにめん情報アクセス手段の多様化と重層化については、行政を含む全てのステークホルダーが全体で今後も継続的に検討を深めていくべきテーマであるとの見解を示した。
総務省では令和7年2月5日(水)から、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の三友仁志教授を座長に「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」を開催し、広域大規模災害を想定した放送を維持するための方策やローカル局の放送が停波した場合の代替手段の確保、被災者の視聴環境の確保等について検討を重ねてきた。これに伴い令和7年7月25日(金)から令和7年8月8日(金)までの間、同チームでの議論を集約したとりまとめ案へのパブリックコメントを募集していた。
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