第67次南極観測隊が昭和基地へ出発
文部科学省の南極地域観測統合推進本部によると、青木茂隊長（兼夏隊長／北海道大学低温科学研究所）、江尻省副隊長（兼越冬隊長／国立極地研究所）、川村賢二副隊長（兼夏隊長：内陸オペレーション担当／同）をはじめとする「第67次南極地域観測隊」総勢94名は、南極観測船「しらせ」に乗船して昭和基地に向かう本隊及び南極航空網（DROMLAN）で南極入りの先遣隊、東京海洋大学の練習船「海鷹丸」で観測する別動隊の３隊に別れて活動。「しらせ」＝写真＝は、11月19日（水）に日本（神奈川県・横須賀）を出港し、一路南極昭和基地を目指した。夏隊には、情報通信研究機構（NICT）、海上保安庁、国土地理院、国立極地研究所（極地研）、産業技術総合研究所（産総研）、海洋開発機構（JAMSTEC）、東京海洋大学及び東京大学、北海道大学など国公立・私立大学、三菱電機ソフトウェア、関電工など関係企業社員、また、越冬隊には極地研、気象庁、総務省関東綜合通信局のほか、西菱電機、日立製作所、三機工業、NECネッツエスアイ、KDDI等の関係企業社員が参加しており、昭和基地等での活躍が期待されている。
南極地域観測は、国際協力のもとに国が行う行事で、関係機関がそれぞれの担当分野の観測等を行っている。日本の南極地域観測事業は、国際地球観測年（IGY）を契機として、１９５７年（昭和32年）に始まった。例えば、NICTは電離層の観測や宇宙天気予報に必要なデータ収集、文部科学省は海況調査、南極周極流及び海洋深層観測、気象庁は地上気象観測や高層気象観測、オゾン観測、日射・放射観測、天気解析他、海上保安庁は海底地形測量や潮汐測量、国土地理院は測地観測、地形測量等を行っている。
今回の第67次南極地域観測隊は、夏隊が基本観測の電離層定常、海洋物理・化学定常、海底地形調査・潮汐定常、測地定常、モニタリング観測、研究観測の重点研究観測、一般研究観測、萌芽研究観測、設営（機械、建築・土木、調理、医療、輸送、広報、庶務）の業務を、また、越冬隊は基本観測の気象定常、モニタリング観測、研究観測の重点研究観測、一般研究観測、設営（機械、通信、調理、医療、環境保全、多目的アンテナ、LAN・インテルサット、建築・土木、野外観測支援、庶務・広報）、の業務編成により活動する。
第67次南極地域観測隊は、前述記載のように本体の観測船「しらせ」、先遣隊のDROMLAN（ドロムラン：ドロイングモードランド航空網）、東京海洋大学練習船「海鷹丸」で構成。「しらせ」は、11月19日（水）に日本を出港、往路：日本～豪・フリーマントル（燃料等補給）～昭和基地、復路：昭和基地～豪・フリーマントル（燃料等補給）～日本のルートで航海。総行動日数１５６日（南極圏94日間）、総航程約２万５０００マイルを要して、令和８年４月23日（木）横須賀に入港の予定。なお、観測隊は、トッテン氷河沖で往路１週間、復路３週間程度の集中観測を実施予定。
第67次南極地域観測隊の参加隊員名は次の通りである。
【夏隊】
▽青木茂（北大／隊長兼夏隊長）▽川村賢二（極地研／副隊長兼夏副隊長・内陸オペレーション担当）▽田中敦（NICT電磁波研究所／電離層担当）▽金子直道（海上保安庁海洋情報部／海底地形調査・潮汐）▽瀧修一（国土地理院測地部／測地）▽髙橋邦夫（極地研／海洋物理・化学）▽フェーラ・アゼベド・マテウス（東京海洋大／同）▽後藤大輔（極地研／気水圏変動）▽岡田史音（日本海洋事業／地圏変動）▽森田康（マリン・ワーク・ジャパン／生態系変動）
▽中澤文男（極地研／重点研究観測）▽大藪幾美（同／同）▽猿谷友孝（同／同）▽小原徳昭（ロボティスタ／同）▽千徳明日香（琉球大／同）▽石輪健樹（極地研／同）▽鈴木克明（産総研／同）▽吉岡純平（極地研／同）▽尾張聡子（東京海洋大／同）▽平野大輔（極地研／同）▽大橋良彦（同／同）▽嶋田啓資（同／同）▽真壁竜介（同／同）▽戸澤愛美（同／同）▽吉村将希（北大／同）▽西岡純（同／同）▽近藤能子（長崎大／同）▽村山愛子（北大／同）▽小野数也（同／同）▽山縣広和（日本工大／同）▽下野宗司（東大／同）▽黒沢則夫（創価大／同）▽髙橋啓伍（北大／同）▽松田亮（創価大大学院／同）▽木村亮（日本海事事業／同）▽福原達雄（極地研／同）▽海老原諒子（東大／同）▽溝端浩平（東京海洋大／同）▽髙尾信太郎（環境研／同）▽吉田和広（佐賀大／同）▽前田歩（東大／同）▽チェン・シジュン（同・同）▽佐藤和敏（極地研）▽村瀬清華（北見工大／同）
▽寳谷英貴（東大大学院／一般研究観測）▽木村直人（同／同）▽寺田友梨（同／同）▽鴇田翔哉（三菱電機ソフトウェア／同）▽國分亙彦（極地研／同）▽安達大輝（同／同）▽齋藤綾華（同／同）▽和田智竹（横浜国大／同）▽杉浦健太（群馬大／同）▽小林拓（山梨大大学院／萌芽研究観測）▽地美洋介（極地研／機械・内陸PBオペ）▽古見直人（同／機械一般）▽林田悦哉（関電工／電気設備）▽乙川亮司（飛鳥建設／建築・土木：昭和監督）▽佐藤啓之（ミサワホーム北海道／同：昭和建築）▽大熊貴弘（鹿島道路／同：昭和重機）▽鈴木文治（極地研／調理）▽橋本信子（医療／元金町駅前クリニック）▽柏木隆宏（極地研／輸送）▽池田未歩（同／広報）▽新田洋一朗（JAMSTEC／庶務）
▽諏訪園朋也（阪南市立舞小学校／教育関係）▽宮川萌（北海道伊達開来高校／同）▽鈴木舞生（総合研究大学院大／大学院生）▽熊倉有希（弘前大大学院／同）▽山崎友莉（総合研究大学院大／同）▽井元士穏（北大大学院／同）▽武田龍栄（同／同）▽佐守那菜（同／同）▽井原誉（長崎大大学院／同）▽牛塚貴博（北見工大大学院／同）▽源田蒼（阪大大学院／同）▽高平夏芽（総合研究大学院大／同）▽杉村龍之介（山梨大大学院／同）▽中山由美（朝日新聞社／報道関係）▽杉浦奈美（同／同）▽山田旬（徳島新聞社／同）。
【越冬隊】
▽江尻省（極地研／副隊長兼越冬隊長）▽井上創介（気象庁／定常観測・気象）▽下迫龍一（同／同）▽山田健太郎（同／同）▽荒井建伍（同／同）▽阪本実紀（同／同）▽矢萩智裕（極地研／モニタリング観測・宇空圏変動・気水圏変動・地圏変動）▽倉本颯也（同／同）▽江刺和音（名大大学院／重点研究観測）▽大西祐喜（西菱電機／同）▽松浦大輔（気象庁／同）▽西野沙織（北大学大学院／一般研究観測）▽松村優佑（いすゞ自動車／雪上車）▽山口洵矢（同／車両全般）▽早田新（ヤンマーパワーテクノロジー／発電機エンジン）▽村松浩太（関電工／電気設備全般）▽香月将吾（日立製作所／発電機制御盤）▽佐藤広（三機工業／機械設備全般）
▽深水千夏子（総務省関東総合通信局／通信）▽杉浦秀樹（極地研／調理）▽吉田裕輝（同／同）▽北郷実（同／医療）▽村中清春（同／同）▽和泉智哉（同／環境保全）▽正木吏駆（NECネッツエスアイ／多目的アンテナ）▽島田裕美（KDDI／LAN・インテルサット）▽常永洋一郎（ミサワホーム中国／建築・土木）▽西村英樹（極地研／野外観測支援）▽鎌田隆雅（庶務・広報／稚内市）。
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※南極観測船「しらせ」：氷厚１・５mの平坦氷海域を３ノット（時速約５㎞）で連続砕氷航行が可能な砕氷船。
※ドロムラン（DROMLAN）：南極のドロイングモーランド地域で観測を実施する11ヵ国が共同で設立した航空網。