新造コンテナ船『げんぶ』商用開始 日本財団、世界最先端の自動運航機能備える

 日本財団(東京都港区、尾形武寿会長)は、少子高齢化による船員不足、ヒューマンエラーによる事故減少等を目指し、無人運航船の実現と人や物資の安定的な輸送を目指すプロジェクト「MEGURI2040」を推進、このプロジェクトに参画する実証船4隻のうち、自動運航船として唯一新造された定期内航コンテナ船『げんぶ』(5689総トン)の自動運転実証実験が完了し、今般、定期航路で自動運転レベル4相当での一般貨物を搭載した商用運航を世界で初めて開始することになり、『げんぶ』の神戸入港に際し自動着桟の様子を公開した。『げんぶ』の商用運航を皮切りに無人運航の社会実装が拡大することで、日本の造船・海事産業の競争力強化が期待されるとした。
 2022年1月~3月に「MEGURI2040」プロジェクトの第1ステージの一環として実施した実証運航では、船舶交通量の多い輻輳海域である東京湾での運航や、北海道苫小牧から茨城県大洗までの長距離(約750㎞)・長時間(18時間以上)の無人運航を成功させ、その知見を活用して進行中の第2ステージでは、より環境負荷が小さい輸送手段へ転換する「モーダルシフト」を担う一翼として、旅客船やコンテナ船、貨物を積んだトラックやトレーラーが自走して乗り降りできるRORO船といった様々な船舶を商用運航させ、社会実装することを目指している。
 今回商用運航を開始した『げんぶ』は、2025年度中に商用化を予定している自動運航機能搭載船舶4隻のうちの第2弾で、昨年12月には岡山県において、一般乗客を運ぶ旅客船「おりんぴあどりーむせと」が商用運航を先行して開始した。日本財団では、引き続き技術開発を進めながら、自動・無人運航に係るルールや法整備、社会的な理解も促しながら、2040年には内航船の50%の無人運航化を目指すとした。
 定期内航コンテナ船『げんぶ』は、(株)イコーズが管理し、鈴与海運が運航する700TEU型の内航コンテナ船で、神戸から大阪、名古屋、清水、横浜を経由して東京までの航路においてコンテナ貨物輸送に従事している。内航海運は、国内貨物輸送の約4割(トンキロベース)を占める重要なインフラである一方、船員の高齢化や人手不足は深刻な課題となっている。『げんぶ』は、プロジェクトの目的である「物流のめぐりを良くする」観点から、無人運航船の普及を見据えて建造段階から設計、無人運航に必要なすべての機能を搭載したフラッグシップ。
 船舶を航行させるには、国の技術基準に適合しているかを確認する船舶検査に合格する必要がある。国土交通省では2024年6月、自動運航船に係る安全基準・検査方法などを検討する「自動運航船検討会」を設置し、2025年6月に検討結果を公表。自動運航船として航行するにはセンサーや避航ルートを自動で計画するプランナー等のシステムが適切に動作するか等を確認するための検査を受ける必要があり、『げんぶ』は本年1月28日に船舶検査に合格。今後、商用運航下で自動運航を継続し、収集した運航データは国内外の自動運航船に関する更なるルール策定に活用していくという。
 なお、今回の商用運航開始発表において海野光行日本財団常務理事は「新造内航コンテナ船『げんぶ』が、自動操船のみならず、機関遠隔監視や自動離着桟などの世界最先端の技術を詰め込んだ無人運航船として商用運航を開始することになる。これから『げんぶ』を活用して国内外の無人運航船に関するルール作りに貢献するとともに、高い技術力を持つ日本の海事産業の競争力強化を支援していく」と話した。