航空レーザーで大規模カルスト捉える 海保海洋情報部、小笠原諸島周辺海域での存在明らかに
海上保安庁海洋情報部は今般、東京都小笠原諸島の南島及び母島において、浅海域水深データ整備に伴う航空レーザー測量を実施し、そのデータを解析した結果、大規模な沈水カルストの詳細な海底地形が解明されるとともに、国内で3例目となる新たな沈水カルスト地形の存在が明らかになったと発表した。
海洋情報部によるデータ解析の結果、南島周辺にて国内では珍しい「沈水ドリーネ」と呼ばれる凹地状の沈水カルスト地形が南島北西沖に連続して存在することが判明し、母島周辺では沈水カルスト地形が存在することが初めて明らかになった。このような海の中に広がる沈水カルスト地形が発見されたのは国内で3例目となる。
小笠原諸島周辺海域には、沈水ドリーネの外縁が繋がって形成された細長い稜線上の地形が広がっている。このような地形は周囲の海底よりも浅く、暗礁となるため、その分布や水深等を把握することは船舶の航行安全にとって重要なことから、今後、結果を海図等へ反映するなどして船舶航行の安全に繋げていくとした。
今回の成果について、環境省小笠原自然保護管事務所の藤田道男国立公園保護管理企画官は「海面が現在より低い時代に形成されたカルスト地形が、海面下に広く分布している様子が科学的に明らかとなった。この成果は、世界自然遺産の小笠原諸島にとって、また一つ大きな魅力を加えたことになる」とコメントした。
海洋情報部では、引き続き航空レーザー測量を実施し、沿岸域における船舶の安全航行及び海洋環境の保全、並びに海洋権益の確保などに資する海洋の基盤情報の整備に努めていく考えである。
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※南島:小笠原諸島父島の南西に位置する南北約1・5km東西約400mの無人島。島の中央に位置する扇池は外海とトンネル状に繋がっている人気の観光地で、国の天然記念物にも指定されている。南島の沈水カルストは大部分が海の中にあるため、その詳細は不明だった。
※母島:小笠原諸島父島の南約50㎞に位置する島。13㎞×4㎞の大きさを持つ。島北東部の石門地区にはカルスト地形や鍾乳洞が発達している。これまで母島周辺で沈水カルスト地形の存在は報告されていない。
※航空レーザー測量:航空機からレーザー光を発射し、海底から反射光の往復時間により水深等を測る。測量船が近づくことが難しい浅海域でも安全かつ効率的に測量できる。透明度の高い海域では水深およそ50mまで測深することができる。
※沈水カルスト:陸上で石灰岩が雨水や地下水などによって溶食(化学的溶解)を受けてできた地形の総称をカルスト地形といい、鍾乳洞やドリーネ(地表のすり鉢状の穴)などが含まれる。沈水カルスト地形は、陸上で形成されたカルスト地形が海水準上昇や地盤沈下によって海中に沈んだもので、大規模な沈水カルスト地形が報告されているのは国内でも石垣島名蔵湾と父島の南島周辺の2例のみ。