〝押入れのIoT〟で往時の渋谷を再現 「1964 SHIBUYA VR」体験会を開催

 一般社団法人1964TOKYO VRは8月21日、過去の写真などを基に3D化し、VR空間を作成する「1964SHIBUYA VR」プロジェクトの体験会「タイムマシン体験会~2018年・夏」を都内で開催した。 同プロジェクトは、東京オリンピックが開催された1964年当時の渋谷界隈の町並みを、個人や企業が持っている写真を収集して3DVR化して再現するもので、昨年10月よりスタートしている。 冒頭には同団体の代表理事を務める土屋敏男氏と齋藤精一氏が登壇し、プロジェクトの進捗状況について説明。現在は1000枚を超す写真の提供があったといい、進捗状況は渋谷駅周辺のみで約30%。齋藤氏は「より高精細な3DVRを作成するにはより多くの写真が必要となります」と話している。当面の目標は、2020年までには表参道交差点や神宮前交差点、赤坂離宮、国立競技場、銀座・丸の内など、1964年に開催した東京オリンピック聖火ランナーが走った4つのコースも3DVRでの再現も目指しており、体験会や発表会を随時開催していくという。 法人の特別賛助会員には新たにNHKやソニー・インタラクティブエンタテインメントらが参画しており、写真の提供には東急不動産といった企業から、渋谷区郷土資料館や宮益坂町会などの自治体・町会も協力。VRの作成にはNHKの映像資料も活用している。 また、渋谷区の開催するイベントに同団体がブースを設けて写真を募るほか、渋谷区の全面協力もあり2月15日からは渋谷区役所の出張所10ヵ所に専用のスキャナーが用意されており、写真を持っていくと職員にスキャンをしてもらえ、フィルムや映像はHPや郵送で受け付けている。 これまでの足取りを振り返って土屋氏は「昨年10月にスタートして、11月に開催された『渋谷区民まつり』の会場でも写真を募ったところ、集まったのは3枚と、大変なスタートでした。渋谷区など様々な方の協力があり、多くの写真が集まりました。以前開催した体験会でも、シニアの方にも楽しんでいただき、『なんでこんなことができるんだ』ということを何度も聞かれたりしました」と話している。 齋藤氏は「押入れに眠ってしまっている昔の写真やアルバムなどはそのままにしておくと最終的には破棄されてしまうかもしれませんが、これらをデジタルでアーカイブする〝押入れのIoT化〟を進めることで3D空間が完成します。コンテンツには情報がなくて、白くなっている部分がまだまだ多くあります。ぜひとも皆さんで写真を集めて、『みんなで作るタイムマシン』を完成させたいですね」と呼びかけた。 体験会には渋谷区長の長谷部健氏と土屋氏の誘いにより特別賛助会員となった『欽ちゃん』こと萩本欽一氏が登場。VRコンテンツ内で東急文化会館やカマボコ屋根が特徴的だった渋谷駅、現在の位置とは違うハチ公像などを訪れると、萩本氏は「ここまでになるとは思わなかった。見ようと思っても見られないものが見られたね。当時、渋谷に住んでいたこともあったので懐かしかったかな」などコメントした。