日本ケーブルラボ 第12回定時社員総会を開催

一般社団法人日本ケーブルラボは、6月22日にラボ内で第12回定時社員総会を開催した。関係者、報道関係者にはオンラインで公開した。 田﨑健治理事長が次のように挨拶した。 「日頃より日本ケーブルラボの活動に深いご理解とご協力を賜り、まことにありがとうございます。また、新型コロナウイルス禍の中、一生懸命、事業の推進に努力されている皆さまに敬意を表すとともに、医療関係者をはじめ感染拡大防止にご尽力されている方々に心より感謝申し上げます。本日の定時社員総会の開催にあたっても新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から最小規模で開催せざるを得ない状況となりました。本来会員の皆様へラボの活動を丁寧にご説明できる絶好の機会であり、本当に誠に残念な限りでございます。そのような中、定時社員総会を開催することができるのはひとえに皆さん会員の皆様のご理解とご協力によるものと感謝申し上げます。さてケーブルテレビ連盟様が『2030年DX』というキーワードのもとこれからのDXのロードマップを策定し、いよいよその活動を始めるということです。それに対しても我々のケーブルラボといたしまして、技術的な側面から最大限ご支援を申し上げたいと思っております。さて技術的オリエンテッドの社会が来ているということで、日進月歩ならぬ日進年歩というような大変な速さの技術の進展が今、起こっておりまして大変な環境変化を起こしているということですので、その技術的側面を支えるケーブルラボとしては一層頑張って行かなければいけないと思っております。具体的に言えばコロナ禍の中、テレビの視聴形態もネットフリックス、YouTubeといったOTTの進歩と言うか定着を見ますと我々も大変な危機感を覚えなければいけないと思っています。そのためには回線の大容量化それからケーブルのIP化かそれから無線ビジネス、ギガサービスへの急展開の注視と、それから地域サービスの加速を我々としては注目せざるを得ないのかといないのかなと思っています。この技術の進展というところでわれわれは、先進的な技術、ちょっと違っていうと尖った部分の研究を怠りなくやっていかなければいけない。それを進化させて現実化させるという事業展開を行っていかなればいけないと思っています。それと同時に皆さまと共感共有できる会員サービスも引き続きやっていかなければいけない。会員の皆さまには今更聞けない技術の話とか、課題とかそういうものも遠慮なく我々に聞いていただきたいと思っております。自社で開発した技術やアプリなど全国の仲間たちに広げたいという考えをお持ちの方も一度ラボの方にご相談いただければ、我々としてはそれに対してアドバイスしてしっかりそういう活動も広げていきたいと思っております。会員の皆様には我々ラボを進化させていきますので、引き続き日本ケーブルラボへのご指導ご支援を賜りますよう深くお願い申し上げてます」。 田﨑理事長の挨拶の後、議事に入った。【報告事項】2020年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)事業報告及びその附属明細書の件【決議事項】第1号議案 2020年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)貸借対照表及び正味財産増減計算書ならびにこれらの附属明細書承認の件、第2号議案 理事14名選任の件、第3号議案 監事2名選任の件および第3回功労者表彰受賞者の紹介、新体制報告で理事長挨拶が行われた。 続いて、松本修一専務理事が2020年度事業報告を行った。概況と主な事業内容は次の通り。 ケーブル事業に関連する譲歩運通信技術が著しい進展を見せる中で、日本ケーブルラボは、ケーブル事業を技術イノベーションにより発展させるため、スピード感と適時性を念頭にラボ活動を推進してきた。具体的には、5大プロジェクト(次世代サービス、AI応用、5G・ワイヤレス、マイグレーション、イノベーション)に対して、事業企画委員会、技術委員会、個別課題毎の各ワーキンググループならびにラボ事務局による自主的活動の4つの検討体制で、以下の活動を行った。 ケーブル自主放送のハイブリッドキャスト対応に関して、地デジコミュニティチャンネルのデータ放送からハイブリッドキャストを起動する機能について機能確認実証試験を行い、ハイブリッドキャストの運用仕様に追加規定した。 360度VRサウンドに関して、より臨場感を高める試みとして、映像とともに音もVR連動させ視聴者の視点に合わせた立体的な音場を実現する「サウンドVR」をSTBアプリとして試作開発し、ケーブル技術ショー2020にてデモ展示を行った。また、リモコン操作に関するユーザインターフェースの評価を外部研究機関と共同で実施するともに、ケーブル事業者とのVRコンテンツの実証評価に着手した。 番組制作自動化に関して、2020年3月に実施された日本ケーブルテレビ連盟のAJC―CMSにおけるAI機能(主に文字起こし機能)のトライアルに参画し、テキスト文から単語解析を行う形態系解析の手法を用いて分析・評価を実施した。正解率は90%を超え、十分実用的であることを確認し、調査報告書としてとりまとめた。 IP配信へのサービス移行に関して、オールIP化に向けて段階的な取り組み提言をまとめるとともに、コンテンツの差別化と柔軟なパッケージ販売、OTTとの横断検索・レコメンド機能の搭載、マルチデバイス受信などサービスコンセプトをとりまとめ、報告書として完成させた。 第4世代STBに関して、ケーブルサービスの今後のあり方について検討し、フル機能型と簡易型について、その構成の検討を行い、第4世代基本構想検討報告書として完成させた。    ◇ 技術者の育成を目的として、2日間の集中講義によるJQE資格検定講習会を4回開催した。JQE資格検定試験は、全国150ヵ所の中から受験者が選択した試験会場において、コンピュータ試験(CBT)により実施し、合計35名が合格した。JQE資格更新講習会は、2020年度に資格有効期限を迎えた資格取得者を対象に、12月4、8、15、16日の4回オンライン型式で開催し、30名の資格更新を行った。このほか、eラーニングによるJQE基礎講座、ケーブルサービス向けソフトウェア木曽講座を実施した。    ◇ 続いて、日本ケーブルラボ第3回功労者表彰受賞者がオンラインで挨拶した。受賞者は次の3名。▽上園一知氏(所属・ジュピターテレコム、当法人における主な役職・技術委員会委員)▽山田満氏(所属・一般社団法人情報通信技術委員会、当法人における主な役職・元実用化開発部主任研究員・元企画管理部主任研究員▽藤本勇治氏(当法人における主な役職・前理事長)。    ◇ 理事14名選任の件では、宇佐見正士・元KDDI常勤顧問、原年幸コミュニティネットワークセンター常務取締役、村田太一・一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟理事長補佐が新しく理事に就任した。退任した理事は次の3名。髙原昌宏コミュニティネットワークセンター社長、林正俊・一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟専務理事、松本修一・一般社団法人日本ケーブルラボ専務理事。松本修一氏は、特別顧問に就任した。 宇佐見正士専務理事が次のように挨拶した。 「事業環境においても、技術においても大変革をしているこの時期にケーブルラボ専務理事という重責を担う事に、本当に大きな責任と使命を感じております。私自身は某通信会社の研究部門及び技術戦略部門一筋で、約30年以上経験してきた。これらの経験もフル活用しまして大変微力ではございますが、会員様皆様のご支援をいただきまして田﨑理事長を中心にしてケーブルラボを盛り立て、並びにケーブルテレビ業界の発展に貢献したいというふうに全力で取り組みたいと思っておりますので、何卒ご指導ご鞭撻を宜しくお願い致します」。