
技研公開 2025連載②~ユニバーサルサービス
NHK放送技術研究所(技研)の「技研公開2025」が、5月29日(木)から6月1日(日)の4日間、東京都世田谷区砧の技研にてリアル開催される。「広がる つながる 夢中にさせる」をテーマに展示される研究成果など18項目のうち、本紙では開催直前まで見どころを連載としてお届けする。
第2回は、ユニバーサルサービスの実現に向けた研究開発の展示を紹介する。
▽「Webベース放送メディア① 放送通信統合型コンテンツ提供基盤」
伝送路によらない放送コンテンツの提供を目指して、放送とネットを活用しコンテンツをあまねく届けるWebベース放送メディアの研究を進めている。多様なコンテンツへの接触機会を提供する放送局システムや、放送コンテンツへのアクセス性を高める視聴者アプリケーション、クラウドベースの放送・配信アーキテクチャーを紹介する。
▽「Webベース放送メディア② 来歴情報提示技術」
偽情報・誤情報が拡散する情報空間で、安心して情報を得られる社会の実現を目指している。偽情報・誤情報に接触するリスクのある制作現場と視聴端末において、コンテンツの出どころなどの来歴情報を改ざんできない形式で付与し提示する、映像管理システムと動画視聴プレーヤーを紹介する。これらは、国際標準化団体C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)が策定するコンテンツの出どころと認証に関する技術仕様に準拠している。
▽「つながるメディアアクセシビリティー体験」
視覚や聴覚に障害のある方や高齢者、外国人を含むあらゆる方々に情報を伝えるため、手話CG、解説音声、音楽可視化などのメディアアクセシビリティー支援技術の研究開発を進めている。これらの技術を統合した将来的なサービス例として、番組連動アクセシビリティーアプリを展示する。手話CGでは、ニュース速報のテキストを手話に翻訳し、その内容を基に手話CGアニメーションを生成する。解説音声では、スポーツ中継の映像解析を用いて試合状況に関する解説音声を半自動制作し、ユーザーの携帯端末から音声で伝える。音楽可視化では、あらゆる方々に音楽をより理解して楽しんでいただくため、音楽を理解しやすい映像表現に変換する。
TOP画像は「番組連動アクセシビリティーアプリ」
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。