放送文化基金⑦~NHK 稲葉延雄会長「本当のことを知りたいという人々の願いはいっそう強まる」

 続いて来賓挨拶が行われ、まずNHKの稲葉延雄会長が病気療養のため、専務理事の山名啓雄氏が代読した。「この放送文化基金賞は1975年以来、半世紀以上にわたって放送文化の発展向上に貢献した優れた番組版配信コンテンツや放送技術の研究開発などに光を当ててきたものと承知しております。
 本年は、日本における放送開始100年という節目の年になります。この放送開始に大きなきっかけとなったのは、関東大震災の際に、根拠のないデマが広がり、正確で信頼できる情報を誰もが入手できる手段が必要だと、当時の人々が切実に感じたためと言われています。
 それから100年を経て、世界情勢がますます混迷を深めているにも関わらず、SNSの形成年数などで真偽の定かでない情報が氾濫して、かえって確かな情報を入手しにくい状況となり、本当のことを知りたいという人々の願いはいっそう強まっています。
 正確で信頼できる情報や日々の暮らしや心が豊かになる高品質なコンテンツを確実にお届けしていくことで、国民の皆様が平和で豊かに暮らせる社会を実現し、健全な民主主義の発展に貢献するという、私達メディアの役割はますます重要になっています。
 NHKとしましては、次の100年に向けても引き続き皆様とともに努力を続けてまいりたいと思います。結びに、放送文化や放送技術の発展と向上に力を尽くしていらっしゃる皆様方の、今後ますますのご活躍とご健勝をお祈りし、ご挨拶とさせていただきます」。