放送文化基金賞 技術部門は日テレ・3Dスキャンワークフローなど4件

 放送文化基金は、「第51回放送文化基金賞」において放送技術部門の表彰を行った。この賞は毎年、放送に関連する技術の研究・開発、あるいは放送現場での工夫・考案で効果を上げた技術により、顕著な業績を残した個人またはグループを対象に授与されるもの。今年は以下の4件に授与された。

 ▽「日本テレビコンテンツ開発チーム」(日本テレビ放送網)の3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用。
受賞のコメント(日本テレビ放送網:戸部雄輝氏、岸楓馬氏)
 「本システムの導入により、簡便で迅速な3DCG制作が可能となり、様々なコンテンツにCGの導入を飛躍的に拡大することができました。
従来、制約時間やデータ収集の観点から、実現が難しい案件に対しても対応できることになり、新しい番組制作のあり方を提示することができました。
 改めてこのシステムに関わっていただいた技術の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました(戸部氏)
 このシステムを活用することで被災地の状況も可視化できるなど、今後の防災や減災の可能性を示すことができました。改めまして、この度の栄えある賞、心より感謝申し上げます(岸氏)」。

▽「Live Mult i Studio開発チーム」(TBSテレビ、WOWOW)の映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio」の開発。
 受賞のコメント(TBSテレビ:原拓氏)
 「Live Multi Studioという技術は、一言で言うと中継の技術です。現場で起きている感動や、真実の報道をなるべく楽に中継したいという、わがままな要望を詰め込んだサービスになっております。自分達で作って使っていただけなんですが、だんだん成長していって、局内そして業界を超えて、多くの方に愛されるものになっていると思っております。
 ここで終わることなく、このサービスをさらに充実したものにしたいと思っており、チーム一同頑張っていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました」(原氏)。

 ▽「VMO開発チーム」(テレビ北海道)のVMO(バーチャルマスターオペレーター)の開発。
 受賞のコメント(テレビ北海道:高橋康二氏)
 「このシステムを開発したのは実は3年前なのですが、最初はなかなか上手くいかなくて本当に苦労しました。チームメンバーみんなで乗り越えてシステムを開発しました。その甲斐あって、昨年からFM北海道のマスターのリモート監視を請け負ったり、回線業務のリモートシェアシステムの開発、最近ではマスターにおいてAIを使用して自動監視システムの開発にも成功しております。
 こういった賞を頂けて、本当にメンバー1人1人に励みになります。本日はありがとうございました」。

 ▽「H3ロケット打上げ撮影システム開発チーム」(NHK、JAXA、M―Tec JAPAN)のH3ロケット打上げ用超高精細撮影システムの開発。
 受賞のコメント(NHK:三橋政次氏、西原正揮氏)
「ロケットの打ち上げで90mというのは非常に無謀なチャレンジでしたが、さっき見ていただいたように、非常に美しく迫力ある映像を撮影することができました。この映像を見て、ロケットに興味を持つ、あるいは宇宙が好きになってくれる人が増えればいいなと思っております(三橋氏)。
 新しいポジションにカメラを設置するというのは言葉で言うと簡単なんですが、新しい信号線を引いたり、電源系統に加え、安全性の確保など様々な課題がありました。
 この課題を一つ一つ、色々な方の協力があって乗り越え、良い映像を撮ることができました。ありがとうございました(西原氏)」。
(全文は7月28日号3面に掲載)
トップ画像は日本テレビ・戸部氏㊨、岸氏


TBSテレビ・原氏


テレビ北海道・高橋氏


NHK・三橋氏㊧、西原氏

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。